表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
562/584

カーミラー暗殺遂行……b


 きゅぴきゅぴきゅぴ……

 押し問答するガランとした11階の広間の天井に、突如として大量の子コウモリが湧いて出た。当然カーミラーの分身体である。


「きゃっ何?」

「コウモリよっ気持ち悪い!」


 押し問答から一転、広間の中は学園の校庭に野良狼が迷い込んだ時の10倍ほどは混乱した。


「落ち着け、迷いモンスターであろう。ええい人が少なくなった途端に、ファイアーボール!」

「お止めを、部屋に火が移ります」


 レミランに注意されて、アルデリーゼはあわてて手を止めた。


「ここはお任せ下さい!」(しかしコウモリ?)


 スチャッ

 アジサイは天井に向けて短魔銃を撃ち始めた。

 タンタンッ!

 しかし子コウモリはタクミに弾を避けて、あざわらう様に天井から降りて来た。


 きゅぴきゅぴきゅぴ……

 天井から1,2匹舞い降りる様に下がって来たかと思うと、次第にコウモリの数は増え、部屋中がコウモリの嵐の様になって来た。当然カーミラーの幻術である。


「どうなっているこの忙しい時に!? ええい、いまいましい!」


 アルデリーゼは必死に手で払うが、一向にコウモリの黒い嵐は晴れない。



「今ですね」


 スーーーッ

 子コウモリの中から手だけを復活させたカーミラーが、短剣を片手にアルデリーゼの背中に迫る。


「何かおかしい、レミラン君逃げなさい!」

「え?」

「新王陛下、お気を付けをっ」


 キラッ

 叫んだアジサイはコウモリ嵐の中、短剣の鈍い光が目に入った。


「何だっ」

「そこだっ!!」

「危ないっ」


 ズクッッ!

 アルデリーゼを狙ったカーミラーの短剣はアジサイの背中を深く刺していた。


「しまっアジサイ殿!?」

「何故モンスターが名前を知っている?」

「きゃーーっ」(でもアンデッド系モンスターなら)


 レミランはとっさにユリナスにしつこいくらいに伝授された戦法を試した。


「くっ」

「聖なる癒しの風よ吹け!!」


 パシュウッキラキラキラ……

 子コウモリの大群に向けて、レミランの広範囲回復魔法が浴びせ掛けられた。

 シュバーーーッ


「ギャーーーーッ!!」


 一度死んで蘇った吸血鬼もアンデッドに含まれるのか、子コウモリが空中で青い炎に包まれて燃え落ちて行く。

 バタバタ……

 その内の数匹がほうほうの体で高窓から逃げて行った。



「コウモリ達が消えた? でかしたぞレミラン」


 アルデリーゼは天井を見て安堵した。


「ぐっ新王陛下」


 しかしすぐに足元で苦しむカールを見つけた。


「レミラン君、すぐに回復魔法だっ」

「はい!」


 アルデリーゼとレミランは共にしゃがんで回復魔法を掛けた……


「うっ申し訳ありません……」

「お前が謝るな。命拾いしたぞ礼を言おう」


 今回ばかりはアルデも心から礼を言ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ