■103話■ カーミラー暗殺遂行……a
「お前達何をしている?」
アルデリーゼ新王はめざとく常に部屋に待機している数十人の護衛騎士にビシッと指をさした。
「この部屋を守っております!」
「バカ者この部屋は無人で良い、騎士は全員2階の防衛に当たれ! 外からの救援が間に合うまでアルパダ軍を一歩も二階に上げるな!」
「ハハッ」
ガシャガシャ
護衛騎士達は急いで階下に走って行った。
「60歳以下の貴族や家臣文官も剣を持って現場に急行して下さい」
「えぇ!?」
他人事の様に噂話をしていた貴族達はギクッとする。
「さぁ早く!」
貴族達はアルデリーゼに急かされて恐ろしく遅い足取りでトボトボ降りて行った。
(着くまでに決着がついておりますように!)
(勝った方に付けば良いわい)
(わしは剣を持っておりませんぞ……)
「あの私は……」
レミランが遠慮がちに聞いた。
「君はこの11階におりなさい。しかしここも戦場になれば12階まで逃げれば良い。その後は降伏しなさい」
「え?」
レミランが降伏した時、アルデリーゼはどうなるのだろうと思ったが、何も言わなかった。
「では私も参ります!」
最後にカールことヒイラギの兄、アジサイが敬礼してキビスを返した。
「待ちなさい、君は使い番としてここにいなさい」
(この男は最後にアルパダに対峙した時に決死隊として使おう……逃げるスキくらいは出来るはずだな)
アルデリーゼはヨコシマな理由で彼を手元に置いたが、カールは信頼されていると思い感激していた。
「ハッ」(信頼して下さるこの方の為に尽くさなければ……)
「きゅぴ」
(人間が減った……残りはレミラン殿とアジサイ殿、老人にメイドさん達か。念には念を入れてカールとレミランを遠ざけるか……)
等とカーミラーが考えた直後であった。
「ダメだ、この玉座で待っているといかにもヤラれるラスボスっぽいな。カール、私も出陣する! 2階の部隊に陣頭指揮するぞ! レミラン君はメイド達とここで待機しておれ」
「え」
がばっ
アルデリーゼは立ち上がった。急に不安になるレミラン。
「お待ちを! 私が参ります。新王陛下は応援が到着するまでここで御避難を!」
「ええい、この私にここで隠れておれと言うのか! 臆病者と言われるわっ」
「いえ、例え罰を受けましょうともここで御止めします。レミラン殿もメイドさん達も王を押し留めよ!」
カールの必死の呼び掛けに、レミランもメイド達もそろ~と寄っては来るが、どうして良いのか迷ってしまう。
「きゅぴ!」(今をおいて無し!)