マリ、真夜中のダンスとクーデターb
「キュウッ」(なんつー恥ずかしいヤツらだ、赤面しちまうぜ)
二人はソラが見てる事も忘れ、しばらく踊り続けた。
一方同じ頃、アルパカイン王国アルデ新王朝
バタバタ、ドタドタ
もう寝ようかというアルデリーゼの玉座の周りが突然あわただしくなった。新王の前にも関わらず家臣達がヒソヒソと話し、何人も使いの使者が出たり入ったりする。
「どうした?」
とうとうアルデリーゼ新王が誰かに聞いた。横に立つレミランも不安気にキョロキョロする。
「ご、ご報告! 大変に御座いますアルパダ殿下約兵三千を引き連れ、空になった城内商店街に侵入っそのまま居座って御座います!!」
ガタッ
アルデが叫んだのと玉座から立ったのはほぼ同時だった。
「何ッッ!?」
「なんですって……アルパダ様が」
もともと白い肌が急激に顔面蒼白になるアルデリーゼ。
「な、何故簡単に城に兵を入れた? 衛兵達は何をしていた??」
「ハッアルパカルカ城門番の兵力は五百程、それに対しアルパダ様は第一王子殿下の上に兵三千を引き連れられておられました。責任者も命令だと言われればあらがう事が出来ず……」
アルデは怒りで数歩前に出る。
「バカなっこの新王の許し無く入れて良い訳がない!」
「恐れながら前王は急逝あそばされましたが、ご長男のアルパダ殿はご健在、アルデリーゼ様以外に押し留める事が出来る方はおられません」
その言葉を聞いて、新王は頭に血がのぼった。
「この私に門番をせよと言うか!」
(ビスマス不在の時になんという事態か! 何故だ、最近はいつも城に寝泊まりしていたビスマスが二日も来ないとはどういう事だ? もう彼女は飽きたとでも言うのか……しかししまった、彼女一人が居れば万の兵にも勝てると、城の守りを手薄にし過ぎた!!)
アルデは怒りながら必死に考えた。
「アルデリーゼ様どうなるのでしょう!?」
「落ち着きなさいレミラン君」
「は、はい」
レミランの手前、アルデリーゼは表面上至って冷静にふるまう事を取り戻したが、本当は自分に言い聞かせているセリフだ。
「このアルパカルカ城の現在の兵士数は?」
側近の護衛騎士に尋ねた。
「ハッ城内の兵士は総計二千程で」
「よし、全兵士を二階に降ろせ、アルパダをそれ以上は上に行かせるなよ! それと使者を窓から飛び降りさせてでも外のロルフに伝達し、王都の守備兵1万に城に向かう様に集合命令を掛けよ!!」
(自らも駆け付けて来るであろうが……)
「ハッ」
使者は大急ぎで走って行った。
スタタタ
(きゅぴっヤルなら今夜ですかね?)
その一部始終をカーミラーは見ていた。