見た事も無いボスドラゴン……プラチナb
「魔法の光の羽っ! ファニー俺の後ろに隠れてっ」
シュババッ
背中から生えた光の羽が回転しながらファニーを守る。
「う、うむ。しかしネリスが!」
「安心して気絶してるだけ、あとで回復するから」
もし死んでたら師匠か聖女さんに蘇生してもらうしか。て、あっファニーも聖女か?
「わらわも聖女だっ回復くらい出来る」
「戦闘後にして、今はコイツを倒すから、光の長魔銃!!」
シャキッ
俺の中で一番威力のある長い魔銃を出した。これで一発で仕留めないと。しかし姿が見えん!
『加護者か? しかしそんな物仕舞え、人間風情が何をしてもムダであろう』
うっ何だこの心の底に響く様な高貴な声は!? ただの魔物じゃない。
「何様なのだっユリナス早くやってしまえっ」
「シッそれ以上は黙ってて静かにして」
刺激してはダメだっ俺の本能がそう叫んだ。そう、相手は師匠やネモフィラさんと同じ感じがするんだ。
ゆら~~
俺がそう感じた直後、白い霧の中に巨大な影が浮かび始めた。
『そうか、お前がユリナス……リリーが選んだ人間とはお前か? しかし見事に普通の何の輝きも変哲も無い人間ではないか、何故お前の様な者をリリーが?』
「お前は、いや貴方は一体?」
俺は恐怖で声が出にくくなっていた。
『ふむおのれの実力を知って私と争う事はせぬか、そこそこの知能はありそうだ。よかろう我が名は白金竜、ホワイト・スノーフレーク・ドラゴンなり。あの方のご様子をうかがいに来たが、それよりも面白い者に会えた様だな』
あの方? しかし眷属持ちからじゃ無くて、主竜と先に会うなんて初めてのパターンだよ。プラチナ竜ホワイト・スノーフレーク・ドラゴンだって? しかもこれまでの知識外のドラゴン、一体どんなヤツなんだよ。
「お、おれは主竜とは争うつもりは無い、どうせ敵わないのは分かっている。しかしここで人を襲ったり騒ぎを起こすのはどうか止めて欲しい。貴方達からすればそもそも何の利益も無いくらいに小さな事のハズさ」
俺はかなり恐々お願いしてみた。ビスマスの【ネモフィラさんのワケミタマ】とか言う存在ですら山を消すくらいの威力があるんだ、本気のボスドラゴンを怒らせるとどうなる事か。
『ホホホ暇つぶしで襲って来る人間を倒していただけだ。それはリリーも同じであろう。されば良い良い、もはやこの地に用は無い。これよりどちら側に付くか思案する為に、一人になれる場所に飛ぼう!』
ばっさ~~~
直後、巨大な存在は霧を吹き飛ばす嵐の様な羽ばたきを始めた。
「くっ」
俺はファニーをかばいつつ身を屈めた。
ビュオ~~!!
突風が吹き抜けて行く。