クエスト金のウロコの泉……
「うむ、では一週間に短縮した代わりに儂から一つクエストを頼もう。実はカピパラノユイン市にある【金のウロコの泉】に早朝白い霧が立ちこめ、正体不明の存在が人々を襲うと噂になっておる。それを調査し、モンスターならば見事倒して見せよ!」
マリの街でそんな事件が起こっていたのか……しかしそんなのチョロイぜっ!
「ハッ見事討伐して見せましょう」
俺は笑顔になった。良い所を見せて王様からの悪印象を回復しなければっ。
「ぅわ~いユリナスとクエストだなっ!」
「卒爾ながら私もご一緒させて頂きます」
ネリスさん声が低く圧が怖い。
「ネリスさんやっぱりいつものモードの方が気楽でいいや……」
「え~~そうですかぁ~」
にこっ
急に人懐っこい笑顔になっても怖いって。凄い高性能な工作員だな!
ザッザザッザ
俺はねんがんの? この城での個室に案内された。
「い、いくらこの城で暮らすと言っても、夜は別々の部屋なのだぞ」
ファニーが頬を赤らめながら言って来る。可愛いなあやっぱり凄い美少女だよ。
「あ、当たり前じゃないか」
「でもその代わり私が夜もベッドの中で監視しちゃいますよ!」
「ネリスならば安心だな!」
安心じゃないって。
「だったら俺ソファーで寝るよ。そうだ、ファニーもネリスと一緒に俺のベッドで寝れば?」
「なんと、三人で暮らそうと言うのか!? 感覚が乱れておるな」
ファニーはさらに激赤面したけど、俺なんか変な事言ったかなあ? 師匠とヒイラギちゃんといつも同じ区画で暮らしてるからなあ。
「エディファニー王女、コヤツは着替えなどを覗くつもりで御座いますよ!」
「ネリスさん違うって!!」
俺は背中を尖らせて否定した。本当にそんなつもりは無いよ、多分。しかし居候という事で特に歓迎会や夕食会は無く、三人で質素な夕食を済ますとすぐに次の日に備えて寝る事になった。
フッッ
魔法灯りが消されて暗闇になった。
「ユリナス……もしその気ならベッドに忍んで来ても良いのだぞ?」
「行く訳ねーじゃん、ネリスさんいるでしょっ」
ごそっ
ネリスの気配が。
「ご安心を、私は歯を食いしばりながら耳を塞いでおきますゆえ!」
「何故歯を食いしばる? そんな事しないで良いから」
「こ、この私にも加われと?」
「違うよ! もうおやすみなさい」
俺はガバッとソファーの上でシーツを被った。そんな事よりも俺は金のウロコの泉の霧のモンスターが気になるよ。
ピラリラリ~
ー次の日の朝、午前4時
「眠いデス~」
「聖女のわらわでも御前4時起きはツライのだっ」
「俺もしんどいけど、早く行かないと白い霧の怪物に間に合わないよ!」
などと言いながら俺は二人をじっと見た。
「何をしておる?」
「着替えを待ってるんだっ」
あっ。