弱者同盟じゃ!b
「まあ良いのじゃ、他には魔法のろし台を作り、敵の侵入を早期に伝える体制を構築するのじゃ!」
「おおっそれはナイスアイディアです! 師匠さまがいれば何も考え無くても済みます!」
「こらこら本音が出たな」
「さらに砦の外周に大きな溝を一周掘るのも良いかもしれんな」
「それなら俺のゴブリン達がそういう事したばっかだから、上手くやってくれると思う」
(アイツら早く村に帰りたいだろうな……)
「うむ、全てをマルチタスクで同時にやって行こう! 僕も現場でいろいろ指導するよっ」
「私もやるやる、戦うお后よっ」
「結婚はまだでしょ……」
「まあね」
そんな所で突然、師匠がくわっと目を見開いた。ど、どうした。
「とまあ後回しで良い事ばかり言うたのじゃが、実は真っ先にするべき事があるのじゃ!」
「えっ何ですか俺のリリー師匠!」
「何ですかリリー師匠さま!」
アルフレッドより先に聞いてやった。
「うむ、それはカピパラライン王国との弱者同盟じゃ!」
な、なんと、カピパラと同盟かあ。
「そんな事が可能なのですか?」
「知っての通り我が愛弟子でありフィアンセのユリナスは、上手くカピパラ王国に潜り込み信用を勝ち得ておる。しかもエディファニー王女を骨抜きにして、彼女はフィアンセを自称しておるからな! カピパラと同盟する事なぞ造作も無い事じゃ!」
ちょっ師匠その言い方だと俺が悪人にしか聞こえないじゃないか。
「へえ信用を勝ち得て、王女を骨抜きにねえジゴロですわねえ。わたくしも気を付けねばなりませんわ」
「そんな言い方しないで下さいよ~」
「ユリナス様、王女を骨抜きにされるのがお得意なのですね!」
またヒイラギちゃんが険しい顔で嫌味を。
「じゃあアルパカも乗っ取るつもりで近付いたって事?」
「ちょ、ちょっとシャリィまで止めてよ!」
「ハハハシャリィそれは言い過ぎだよ。忘れたのかい? 僕達が冒険者ギルドでユリナスを誘ったんだよ。それにユリナスが嘘を付いて乗っ取る様な奴じゃないのは良く分かっているハズさ! これからも頼りにしているよ」
ドキッ
アルフレッドがここまで俺の事を信用してくれるのは嬉しいけど、もし師匠がシルバー・リリー・ドラゴンで、彼の大切な父上の兄・勇者アルジェシュナイジェを殺した張本人だってもしバレたら? これまで通り一緒にやって行けるのだろうか。俺は彼に返した勇者の鎧を見て複雑な心境になった。
「どうしましたの常に高速で返事をする貴方らしくも無いですわ」
いけね、アウレ姉さん俺の事良く見てるな。
「え? い、いや感動しちゃってね。俺早速カピパラに飛んで必ず同盟を成立させるよっ!」
「うん頼んだ」