暗〇の行方……a カーミラーの活動
「カーミラー!」
「カーミラーですって?」
俺の叫びに即座にアウレリアーナが反応した。
きゅぴきゅぴきゅぴ
子コウモリ達が天井から集合して遂にカーミラーが姿を現した。
「人知れずこの砦を守っておったのじゃな?」
「申し訳ありません、存在を忘れられておるのではという恐怖心と、ある方への心配から独自にこの砦を守っておりました」
悪ぃ、お前のこと本気で忘れてたよ! って言えないよな。
「お前の事忘れる訳無いじゃん! でも砦を守っていたとはどういう事なんだ?」
「そうですか嬉しいです。実はアルデリーゼがクーデターを起こしてからというもの、夜陰にまぎれて特殊部隊が侵入しようとする物ですから、その都度排除して証拠を残さず全員殺害しておりました」
特殊部隊?
「姉上を奪還する物か、あるいは砦を中から陥落させるものか、何にしても穏やかな物じゃ無いでしょうね、カーミラー殿どうも有難う礼を言うよ」
「いえ王よ礼には及びません、私の意思ですから」
カーミラーは皆に頭を下げた。
「そのついでにわたくしの着替えや湯あみを覗いたりしてたのですわね?」
「そーそー、その通りでござい……て、そんな訳御座いません!」
「今思い切り笑顔でそーそーって言ってたじゃん」
「良い人なんだか悪い人なんだか」
アウレ姉さんとヒイラギちゃんがジトッとした目で見た。
「人では無いのじゃ、元ヒトじゃが今は吸血鬼という立派なモンスターでそこがポイントじゃ」
「ええっ例えアルデリーゼを暗殺するにしても、この私め野生のモンスターが勝手にしただけデス」
スッ
「はい!」
突然ヒイラギちゃんが綺麗に手を上げた。学校か?
「何じゃ?」
「私はこれでも暗殺や隠密の修行をして来ました、是非とも私もお供させて下さい!」
そうか、こんな時に彼女の力が役に……
「ダメじゃ。ユリナスも含めてこの砦城から誰も人員は出してはならんのじゃ」
「マドモアゼル、汚れ仕事はこの私一人にどうぞお任せを」
ヒイラギちゃんは、自らアッチ側に行っちゃった兄さんの事が心配で呼び戻したいんだ。でも少しでも俺達の犯行だと知られる訳にはいかない、当然彼女も兄に連絡を取ってはいけない。アジサイ、君はなんて罪作りなんだよ!
「わかり……ました」
「ヒイラギちゃんあの人の事はまた俺がなんとかするから!」
「……」
ヒイラギちゃんはうなづいただけで、言葉が出なかった。相当行きたかったんだろうな……
「と、状況と材料の説明は終わったのじゃ。どうされますか王子、いやアルフレッド王よ。ワシは献策をすれど決定するのは王ご自身じゃ」
言い終わると、師匠とカーミラーは同時に頭を下げた。凄いシンクロしてたよ!