去る者達……
「え、いやだっ一緒に帰ろうよ!」
「ううん私はここに残る。パパにもママにもお前の好きな様に生きろって言われてたもん」
「捕まって牢屋に入れられちゃうよ!」
「知らない!!」
「ひどいよそんなの」
二人の間に隙間風が吹いた。こういう女の子同士のイザコザ、苦手だなあ。
「シャリィ本当に良いのか?」
「覚えてないの? 小さい時にお嫁さんにもらってくれるって、言ってたよね」
す、凄い逆告白て言うか、この歳で逆プロポーズじゃん。
「……覚えてるよ、いいの?」
「うん」
二人とも凄い激赤面だよ、俺も何て言えば良いか分からないよ。けど立場が無いのがレミランだった。
「そう……二人ともお幸せにね……」
ダメだ、こんな形で友情が終わって良いのかよ。いや覚悟の違いか……これ以上は他人が踏み入る領分じゃあないな。
「よし、レミランは明日俺が国まで無事に送り届けるぜ! 他にも帰還する将兵共がいれば連れて行く。ここまでだなアルフレッド、次会う時は敵だからな」
「その覚悟です」
アルパダはどうでも良いけど、こんな形でレミランと突然別れが来るなんて。
「本当に行くんだね? なんて言えば良いか、気を付けてね」
「うん、初めて冒険者ギルドで会った時が懐かしいね」
「そうだね」
「そろそろ寝ないと、レミラン殿明日の出発がしんどくなるのじゃ」
「うん」
なんだか二人ともそれ以上言葉が出なかった。アルフレッドの幕僚達は第二曲輪の仮司令部で交代で寝ずの番をして、明日のアルパダ出発までに不測の事態が起きないか見張りを続けた。
ー次の日
特に混乱も起きる事無く第一王子アルパダを先頭に、城に戻る将兵達と共にレミランが出発する時がやって来た。
「ふんっじゃあ俺とレミランと将兵1万5千、アルパカルカ城に帰還するぜ。アルフレッド、アウレリアーナ、泣き付くんなら今だぜ?」
1万5千の帰還兵には負傷兵も多く含まれている。今城に残るのは約2万、残り少ないのか2万も残ったと言うべきなのかどちらかな。
「大丈夫ですわ」
「同じく僕だって覚悟は出来ております兄上。レミランこそ道中気を付けて」
「アルパダ様、もし彼女に手を出したら」
承知しないからな!
「ユリナスよ俺はそんな事はせんわ!」
「大丈夫です、ユリナスもリリーさんもヒイラギさんもお元気で」
「うむ」
「はい……」
うっ彼女とヒイラギちゃんの間に微妙な空気が。気まずい……
「よぉーし、出発!!」
アルパダだけが妙に元気で声を張り、そうして彼らは整然と去って行った。
ガチャガチャガチャ、ゴロゴロゴロ
ザッザザッザ
ひたすら長い列と、馬車や大八車が続いて行く。
「ふぅ、これでようやくワシらの建国じゃのぅ」
ようやく黙っていた師匠が口を開いた。そうかこれから俺達の建国かあ……