突然の寂しい別れ……
「アウレリアーナ、俺は幼い時からお前を妹とは思った事はねえ一人の女として見て来た」
警備兵さんここに犯罪者がいますよ!
「アルパダ兄上なんですのヤブから棒に。誤解を受けますわ、わたくしは兄としか見ておりません」
「一緒に行かねえか? お前の事は俺が全力で守るぜ、そして一緒に暮らそうや」
シィ~ン
アウレ姉さんモテモテなのは良いけど、これは一線越えてしまってアウトな告白でしょ。
「お断りしますわ」
即、拒絶。
「ここには贅沢な暮らしも美味しい食事も、パーティーも舞踏会もケーキもデザートも何も無いぞ!?」
「結構ですわ」
「へっそうかよ、じゃあ一人で行くぜ誰がお前なんて誘うかよ!」
鮮やかなくらいにフラれて怒り出したぞ。しかしアルパダは出て行く事確定か。
「姉上本当にこんな所で良いのですか、本当に贅沢な暮らしも何も出来ませんが」
アルフレッドよ、姉さん居るて言ってるんだし真面目に聞く必要無いでしょ、気持ち変わったらどうするんだよ。
「贅沢な暮らしは出来なくとも自由はありますわ。父上を暗殺する様なアルデリーゼのご機嫌をうかがって生きるなんてまっぴらごめんですわよ!」
自由か。アウレリアーナ姉さんの言葉はアルフレッドや俺みたいに東砦に残る前提の連中に勇気を与えた。
「お姫様、小さいですが町内会の連中も新天地のここで商売をしてみたいと言うておりますぞ」
「冒険者ギルドもここに支店を開設する事に前向きですヨ!」
町長に窓口お姉さん……ありがとう。
「まあっそれでしたらソコソコ人間らしい生活が出来そうですわ」
人間らしいって。
「姉上……有難う御座います。本当に嬉しい」
「うふふふふ」
アウレ姉さんはアルフレッドの頭をなぜた。
だがそんな雰囲気に冷水を浴びせる言葉が。
「私は……アルパダ様と一緒に帰ります。ユリナス一緒に帰らない!?」
くいっ
レミランが俺のソデを引っ張って訴えた。嬉しいけど嬉しく無い、どうしたんだよ?
「おおっレミランも常識がある様だな」
「ごめんなさい、私は……パパとママが心配なの、今はパパとママの顔が見たいのっ」
そう言いながらシクシク泣き始めた。趣味で冒険者をやっていても、レミランはただの貴族の女の子、こんな激動な生活を強いられる事は耐えられないのかも知れない。何故かちらっとヒイラギちゃんの顔が浮かんだ。
「俺こそごめん、でも俺は師匠やアルフレッドやアウレリアーナ様とココに残るよ。でもまた会えるよ! 君こそパパとママを大事にしてあげて」
「う、ううっごめん……なさい。シャリィ一緒に帰ろ?」
もはやレミランは涙でなかなか言葉が出ない状態だが絞り出したよ。
「ごめんなさい、私はここにアルフレッドと残るよ!」
レミランとは対照的にシャリィはキッパリ言い切った。アウレ姉さんに通じる気の強さを感じる。