戦いを止める為なんだっ!a
サーーーッ
見るからに姫様の中央軍とエーリュクの南の軍が引いて行くと、俺達シンガリ軍に掛かる圧が弱まって行く。
「シショー、オレ、ヤッテヤッテヤッテ、ヤレソーデス!」
んザッシャーーッバッシャーーーッ!!
不気味に目を赤く発光させた対策くん戦闘仕様が、無邪気に敵軍を追い掛けて切り裂いて行く。
「待つのじゃユリナス分身の術、圧が弱まったとて追い掛ける必要は無いのじゃ!」
「ハイ、シショー」
ぴたっ
対策くんはその場にとどまって戦い続ける。
バッサーーッ!
「分身の術ってそれぞれ違う思考回路持ってて行動出来るモンすか?」
「ワシの特殊な魔法がらみの分身の術なのじゃ!」
「はぁ」
言う事が本当に適当だな! でもほぼ対策くんのネタバレになってるじゃないか。しかしジャラ達にもそこそこ余裕が出て来たって事か。行けるぞ!
「ワーーーッ!」
「掛かれーっ!! 突撃ィー!」
何故だっ!? 北のダルアガートの部隊だけが再突撃を掛けて来る。いい加減引けよっあんたこそ計算高い男だったじゃないか。
「ヒイラギよゴーレムを前面に出して一般兵に負傷者を回収させるのじゃ、我らだけで盾となろうぞ!」
「ハイッ!」
「よーし、野郎共負傷者の回収だぜっもうすぐ帰れるっ踏ん張れ!」
グオーッ! パシュパシュッ!
巨大な黄金のゴーレムを盾にして、ヒイラギちゃんと対策くんと俺とそして師匠が鉄壁の盾と化し、味方のシンガリ隊の撤退準備を始める。けれど、敵は何を考えてるんだよ!? どんどん無駄死にしてるだけじゃないかっこんなのダルアガートの戦い方じゃないよ。
グサッドサッバキッ!
俺の目の前で先程まで優勢だった敵兵が無残に死んでく……もう我慢出来ない。
「師匠、やっぱりここを頼みます!!」
「どこへ行く気じゃ」
ドシューーーッ
俺は師匠の声を無視して、1ミュートロ程浮上すると、ホバーで前に突き進んだ。
「光の羽っ!」
バシバシバシッ
俺に激突して行く敵兵を排除してはそのまま前に進む。当然それでも敵の剣や魔法が当って行くが、頬に当たる風の様に無視して行く。
バシーン! ドカァーーンッ! ゲシゲシッ
不謹慎だけど空を飛んだ時にたまに鳥型モンスターにぶつかってしまうが、そんな感じだっ。
「ゲゲッナスビィーだっ奴が来たっ!!」
「団長を守れっ」
来た、俺の目的ダルアガートの本陣だっ。
「遂に来たかナスビィー待っていたぜっ!!」
バシィーーン!
巨大な馬からダルアガートが振り下ろした剣を、俺は寸前で受け止めた。受け止めなくても死ぬ事は無いが、何故か体が動いてしまう。