俺も地上で戦うっ!a
突然の撤退を命じたゼブランド王に家臣達はギョッとした。
「王様良くお考えを、今は我が軍優勢に御座いますぞっ」
「そうですそうです三方から逃げる敵軍を追撃し、後方の軍を壊滅させうる場面ですぞっ」
「今引くは敵の思うツボ、ご再考を」
「そんなのどうでも良い、回復魔法を……死んじゃう」
全身から血をダラダラ流すイバラがコールディを激しくうながした。
「ちっまた負けて来たのかい? 情けないねえ回復の舞もしんどいモンなんだよぉ」
「コールディ殿、早く掛けてあげて下されココに銀色が攻めて来たら一大事ですよ」
王様は何故か下手に出てコールディの肩を持った。
「ハハッあたしゃ王様の命には何でも従いますよ、では回復の舞!」
ピシャッパァアアアッ!
コールディはイバラに全力回復の舞を始めて、王様との軍議が再会した。
「よし、エーリュクと姫の軍を引けっそれでカピパラの攻勢に備えるのじゃっ」
「王様ご再考をっカピパラとの国境線は遠く、まだ敵が侵攻して来ると決まった訳では」
「ただの軍事訓練かも知れませんぞ」
家臣達は勝利を目前にして必死だった。
「ええいしつこいわっワシが引くと言えば引くのだっアルフレッドの軍はいつかアルデリーゼに敗北するわっ!」
すると回復を終わらせたコールディが王様の肩を持った。
「あたしも王様の考えに賛成だねえ、敵軍にはダルアガートか何か言う傭兵団長に任せときゃ充分さねえ王様」(フフフあたしゃユリナスの力が欲しいだけ、人間共の戦争には興味無いのさ。この王様の肩さえ持っておけば良いんだよ)
「おおっ分かってくれるかコールディ殿!」
「王様あたし、もう一回敵を攻撃して来る……」
ヨロッと立ち上がったイバラが大窓から外に出ようとする。
「ならんっ! イバラちゃんはこの儂と城を守れ。もしカピパラ軍が攻めてくればそれを撃退に当たれっ」
「でも……」
「イバラちゃんは行ってはダメよ、王様の言い付けを守らなくっちゃ」
「コールディお姉ちゃん……でも」
「ダメなんだよっ」
キッとコールディはイバラの首輪を見ると、イバラの身はすくんだ。
ビクッ
「よし、それぞれの軍に撤退命令じゃ!」
「ハッ!」
「何という事、この勝利の好機に……」
「以下、文句を言う者は反逆罪じゃ!」
俺が見た場面はここまでだ。イバラを追い掛けゼブランド王城の執務室の外まで来たが、王様とコールディとイバラと苦手な三人がそろう姿を見て足が止まっていたんだ。遠くて何を言っていたかまではもちろん分からない。
「イバラは再出撃しないのか……よし、地上軍に合流しよう!」
俺はゼブランド王城を後にして、師匠達の元に飛んだ。