怒号と迷いと戦う相手a
「出たな偽善者、今日はその光の矢で虐殺してるのか!?」
「ギゼンシャーッ!」
「ゴクアクヤローッ!」
!?
この声ダルアガートが部下達にまで合唱させやがって。簡単な心理攻撃なのは分かってるけど、どうしても相手してしまう。
「どこが偽善者なんだよっ戦争なんだから仕方無いだろが」
ゲラゲラッ
一斉にゼブランド北の部隊のダルアガート傭兵団が笑いだしやがった。何が面白い!?
「お前は同じ様に攻撃してたビスマスに説教してただろーがよっそれが結局同じ様に攻撃しちまってるから偽善者って言ってるんだぜ」
た、確かに! いやいや納得してどうする。
「だ、だがあれは光の剣の炸裂弾で、俺はライトニングスプラッシュだ!」
自分で言ってても言い訳だと分かる。こんなの無視してバンバン撃ちゃ良いのに何故か気になってしまう。
「だから何だっその不思議な力を戦争で使うな―っとか言ってたんじゃねーのかよ!」
……もういい北の部隊はあきらめよう。南から挟んで来る部隊に向かおう!
シュイーーンッ
俺は笑い声をあげるダルアガートの北部隊を無視して南に向かう。
ー南から迫る部隊
「うおーーーっライトニングスプラッシュ!」
シュババババッ! ドドォーーーン!!
怒りがたまって来たのか、気持ちさっきより強めに撃ってしまう。はぁはぁダメだ、怒りに任せて虐殺し始めたら黄金竜さんと同じになってしまうぜなどと思った時だった。
「出てなっ偽善者ユリナス! お前はこの僕が討つ!!」
うっ南の部隊にはエーリュク君が……おいおいワザとだろ?
「ぎ、偽善者では無い!」
「いや偽善者というより嘘つきだね」
い、いかんまた敵のペースに。
「何が嘘つきかっ」
「アンタは西砦に捕まった捕虜を逃がす時に、ゴブリン傭兵をよこす上にアンタ自身も加勢すると誓ったな!? それを全身鎧を着こんでシレッと無視したではないかっ」
俺自身が忘れかけていた事をキッチリ覚えていたか……
「そ、それでもゴブリン傭兵は出したデショー?」
弱いぞ俺の反論。
「そのゴブリン傭兵は開戦前から反旗をひるがえしたではないか! しかもその発端となった捕虜、あれは恐らくアルパカインゼット王国第三王子アルフレッドとガールフレンド達だったんだろう!?」
どギクッッす、するどい!
「それが何だ!」
「今そのアルフレッドがお前のご主人様ではないのか? しかしそのアルフレッドも兄上の反逆で風前の灯ではないかっ乗る船を間違えたな、計算高いユリナスよ!!」
違う、計算とかでアルフレッドを助けた訳じゃ無いのに。
「アルフレッドは友達だっ!!」