しんがり軍、撤退戦開始!!b
「要は半包囲をしてるフリをしたまま、ある程度アルフレッド達が撤退した所でワシ達も逃げるだけじゃ。敵が気付いてくれねばラクな物じゃよ」
「そ、そうかよ」
アルパダの奴スゲー緊張してるじゃん。
ヒュルルルーーーッドドォーーーン!!
ちょ、突然敵側から攻城魔法が降り注ぎ始めた。いきなり攻撃されてるじゃないですか! 完全にバレてるじゃないですか。
「報告! いつの間にか出撃していた敵城兵、南北から挟み撃ちの態勢!!」
「報告、出撃中の敵軍それぞれ約1万の大軍にて!」
シィーーン
おいおい、いつの間に城から敵軍が出てたんだよ!? これじゃ俺達どころか、アルフレッドの先軍すらヤバイ状況だよ。
「し、師匠なぜ気付かなかったんですか?」
「それは鎧の人が小まめに上空から偵察しなかったからじゃ。敵はやっておるって事じゃの」
それ先に言ってよ~!
「鎧の人出撃じゃ、イバラが出て来るから防ぐのじゃ! 我らは偽装半包囲で散っていた部隊を結集、攻撃しながらゆっくりと西に後退を開始するのじゃ!」
「ハッ!!」
「こらこら俺が総大将だろーがよ!」
テキパキと師匠が指示してる間は黙ってたくせにな。
「安心せよ、死に場所はいくらでもあるのじゃ。おそらく残りの城兵も城から出て来てこちらを直接攻撃してくるのじゃ、早くせぬと三方から包囲されるのじゃ~」
エ~それは大事だよ。
「鎧の人出撃、行ってくる!!」
「ユリナスさまお気をつけて」
「ヒイラギちゃんもね」
ちなみにゴブリン部隊は俺の指示でアルフレッド達を護衛している。彼らは戦闘のプロ、俺と師匠が殿軍にかかりっきりな分、王子を守って欲しいと指示した。
ドシューーーッ!!
上空に舞い上がった途端、師匠の殿軍を南北から挟み撃ちにする部隊が……かなりの大軍だぞ。ゼブランド軍は情報をつかんでて、ここで一気にセンメツする気なんだろうな。
「北の部隊を叩く、ライトニングスプラッシュ(弱)!」
俺はひさびさに敵兵にライトニングスプラッシュを撃つ事にした。光の魔法の剣の炸裂弾でも威力が強い、これなら殺す事無く足止め出来ると思うからだ。
シュパパパパパッ!
俺の頭上に小さな回転する魔法陣が無数に湧いて出て、そこから小さな光の矢が無数に飛び出て来る。それが地上付近で炸裂すると、敵兵は爆風で吹っ飛びまくる。
ドドーーーン!!
もちろん絶対骨折とか大怪我してるだろうし、低威力でも死んでる者もいるかも知れない。けどそれでも炸裂弾よりはマシだから……俺は自分に言い聞かせた。