新王アルデリーゼからの書簡
王様の執務室ではダルアガートやエーリュクと幕僚達があれやこれやと議論していた。
「これはアルパカイン側の工作くさいと思うゼ! ウカウカと出て行くとどうなる事やら」
「僕もこれは我が軍をおびき出す為の策略だと思う」
「しかし事実なら撃退する絶好の好機ですぞ!」
どうやらイバラ達が留守中に届いた書簡について激しく議論している様だ。
「何があったんでしょう王様?」
エーリュクは首を振った。まだ彼女を信用して無いのだ。だがしかし王様は書面を見せてしまう。
ピラリ!
『我が親愛なるゼブランド王よ、我はアルパカインゼット王国新王アルデリーゼ一世なり。父王急病によりご逝去され今回即位の運びとなった。ついては当方アルフレッド元第三王子の反乱軍について貴国と協力して殲滅する意志がある事をお伝えしたい』
文書を見た途端にコールディは叫んだ。
「これだよ!! これは事実だよ王様、アタイは今見て来たよ!」
余りの瞳の輝きに皆あっけに取られる。
「イバラちゃんそれは本当かい?」
「うん、半包囲している敵側の後方から、輸送部隊の馬車や荷駄隊が列を成して西に向かってた。多分遅い部隊から先にコッソリ逃げようとしているんだよ」
ガタッ!
王様は玉座から興奮気味に立ち上がった。
「でかしたぞイバラちゃん!」
「うん!」
「義姉のコールディです!」
「う、うむコールディ殿も良くやったぞ!」
聞いたゼブランド軍は色めきたった。
「恐らくアルパカ軍の内部はこの情報で大混乱だぜ!」
「アルデリーゼの奴が味方かどうか分かりませんが、敵を追い打ちするなら今です!」
「イバラちゃんよ、銀の男か鎧の男が出て来るかも知れないが、太刀打ち出来るかい?」
ズイッ
コールディがしゃしゃり出て来る。
「それはご安心を! 奴は偽善者ですから、我が軍に直接攻撃出来ないし、イバラちゃんに致命傷を与える事も出来ませんよ、イバラちゃんはキャツを無視して敵軍一般兵ばかり狙えば良いんですからフフ」
「そ、そうかね?」
「う、うんあたしがんばる!」
コールディーはイバラの悪徳マネージャーの様になって来ていた。
「していかほどの軍を出すのじゃ?」
「王様お許し頂ければこの城にいる全軍、約3万の部隊を全て出すべきです!」
エーリュクの声には力がこもっていた。
「俺も賛成だぜ」
ダルアガートも賛同する。
「よい良いじゃろう行け!」
こうして戦いが始まった。