ネモフィラわけみたまa
「人間じゃないって青い珍しいエルフとか、ノームとかピクシーとかそういうのでしょ? もしかして人魚とかかな、俺全然受け入れるよ! だって君の事が……」
そう、ここで広い心を見せるんだ。
「バカ者、そのどれでもないわ。あたしはドラゴンだ」
ドラゴン、そうか師匠と同じか……え、師匠と同じ?
「どういう事?」
「あたしはブルー・ネモフィラー・ドラゴンのわけみたま体なのさ」
わけ? 1ミルも意味が分からん。
「ごめん、ちょっと良く分からないよ。君はネモフィラさんの一人娘とかそういうの?」
「全く違うわ! わけみたま体とは、魔王と言われる様な巨大な魔力を持った魔人や、我々の様なボスドラゴンが瀕死に際して自分の魂を二つに分けて逃がす事さ。いわばトカゲの尻尾が生きてる様なもんだ」
何となく意味は分かったけど、我々って。
「つまりビスマス、君はブルー・ネモフィラー・ドラゴンそのものなのかい?」
「そうだ」
そう言いながら彼女は遠くを見たけど。
「どういう経緯で?」
ー約500年と数十年前
八竜大戦の終わりにあたしネモフィラは黄金竜ゴールド・マリーゴールド・ドラゴンを封印のピラーにした事は聞いただろう。
バシイイッ!
「騙したなネモフィラ、もうお前の事は知らんのじゃーーーわーーーーーっ!!」
あたしは一緒に封印する予定だったリリーを騙し、一人で黄金竜を封印する事にした。
「ま、待てリリーーッ!」
あたしは叫んだが後の祭り、リリーは戻って来る事は無くあたしは一人で黄金竜を見張り続けた。が、気配を感じてしまったのだ。
スーーッ
「……」
「こ、これは結界の外に黄金竜の気配が……そうかっコイツわけみたまの秘儀を!! 逃さんっ」
あたし一人で封印の儀を摂り行った為、少しの隙が生じそこからマリーゴールドは自分のワケミタマを逃す事に成功していたんだ。だが私も負けてられない、本体は封印を仕掛けたまま、あたしもワケミタマの秘儀を使い、逃れたばかりの黄金竜の一部を捕まえる事に成功した。
シュバーーッ!
バチバチバチッ!!
「チィッ! しまった見つかったかっ」
「貴様だけは絶対に逃さんっ」
だがあたしは結局リリーが居ないと、一人で黄金竜を倒す事は出来ず、一人で完全に封印する事も出来ず、一人でワケミタマを消す事も出来ないと悟った。
「くふふ、どうするいつか我は自分の本体をも蘇らせてみせようぞ」
「ならばあたしは生きている限り蛇の様に巻き付いて、お前を監視し続ける!」
バシィーーッ!
あたしはワケミタマ体をも自力で監視し続ける事にした。