リリー・サマー殿、仲間になれ!
「リリー様!?」
「師匠本当に行っちゃったのかよ……窓口お姉さん騎士さん達、情報ありがとう! けど俺も自分の目で見て来る。アルフレッド待っててくれっ」
「あっユリナス!」
タタタッ
俺は皆から顔が見えない位置まで来ると銀化して飛び立った。
「ユリナス銀化!」
シャキッ
でも本当は彼には悪いけど、気になっているのは王様の事じゃ無くてビスマスの方なんだ。アイツなんでこんな事を!?
シュバーーーッ
俺は空に飛び上がった。
ー回想では無く、アルフレッド達の今と同時刻のアルパカルカ城
アルジェシュナイジェ王を失ったアルパカインゼット王国はもろく、電撃的アルデリーゼ第二王子のクーデターは完全に成功してしまい、新王に即位したと自称するアルデは着々と城内と国内を掌握しつつあった。
「うむ、抵抗する部隊あれば容赦なくセンメツせよ!」
「あの例の事件に居合わせた家臣や貴族の処遇は?」
「事件とは何だ? 私は隠し立てするやましい事は一切していない。貴族やメイド達や執事達も特に拘束するな。おかしな噂を流す者はいつの世にもいる物だ、一切気にするな!」
「ハッ」
息を潜めていた情報屋のメイドはホッとした。
「新王陛下、東門の警備兵武装解除完了しました。彼らも服従を表明しました!」
言いながらカールことアジサイはひざまずいた。
「カールよお前は本当に良く尽くしてくれているな。今回の私の新王即位でもヨコシマな反対派を懲罰する為に良く働いてくれている。私は将来、お前を大臣にも腹心にもしたいと思うくらい信頼してるのだ」
激務で険しかったアジアイの顔はぱぁあっと明るくなった。
「も、もったいないお言葉っ! まだ歯向かうけしからぬ連中がおりますので、これにてっ」
深々と頭を下げるとアジサイは走って行った。
「ふっどこまで本気なのか? 本気であればバカな奴よ」
彼が去ったのを見て、アルデリーゼは鼻で笑った。
シュインッ!
そんな時であった、新王が一息付こうかと背筋をゆるめた途端、何の脈絡も無く突然玉座の目の前にリリーが出現した。大広間のすみっこにはビスマスが腕を組んで立っていたが、気付いてギョッとする。
「何じゃ、事実かぇ?」
玉座に座るのがアルジェシュナイジェでは無く、アルデリーゼと気付いてリリーは即座に全てを理解した。
「……リリー・サマー殿、瞬間移動魔法ですか? しかし丁度良い、アルフレッドと同行されていたとか、この度新王に即位しました。貴方にもしかるべき役割を担って頂きたい。来て頂けますか?」
アルデは玉座からスッと腕を伸ばした。