第二王子アルデリーゼ・クーデター、詳報b
「ええい、父上貴方はご自分の立場が分かっておられるのか?」
「何がだ? それは貴様の事であろう、早く謹慎部屋に戻り夕食でも待っておるが良い!」
ブチッ
アルデさんはまた激しく怒りました。
ドドーーン! ドーーーン!!
「聞こえますか父上、我が命令で対ドルフィン国境警備兵が城を掌握しつつあります。落ち着いてられるのも今の内です。我が機嫌を損ねねば、父上には良い謹慎部屋を用意致しますゆえ!」
王子は笑いながら言い返したつもりでした。
「国境警備兵を引き連れてどうするか、今すぐ元の地に返すのだっ!」
ビシッ!
気丈な王様は一切気後れする事無く、指をさして命令しました。
「少しは恐れをなして命乞いするかと期待したが、貴方は想像以上に立派な方な様だ」
「何故儂が命乞いをせねばならんか? 今すぐ部屋に戻り謹慎せよ、このアルフレッドに遥かに及ばぬ出来損ないがっ!」
ビキッ
それでアルデリーゼさんは完全に自分を見失った様です。
「うわーーーーっ! 私のどこがアイツ以下だーっ!!」
ザシュッ
気が付いた時には、第二王子の剣は王様の胸を貫いていました。
「キャーーーッ!?」
逃げ惑うメイドさん達。
「何故、私程貴方の意思を尊重して、他国に工作して攻めていた子供はいなかった! それがどうしてアルフなんかがゼブランド攻めの総大将に!?」
「うぐっもう良い好きにせよ。そなたがこの国を乗っ取り、どう潰して行くか見ものじゃわい!」
「まだ言うかっ死ねば見る事も出来んわ!」
ズバッ!
剣を引き抜くと、胴を切り裂きそれで完全に王様は……玉座からくずれ落ちました。
どさっ
「もう死んでいるぞ、こんな予定だったか?」
「ハァハァこれが運命であった。ビスマスよ皆の見ている前で灰に出来るか?」
「簡単な事だっハッ」
ボウッ
王様は玉座の足元で青い炎に燃やされて灰になりました。
「貴様この灰を丁重に弔え、早くだっ!」
「は? ハハッ」
言われて執事は涙を浮かべ、手で灰を拾い集めました。
スッ
そしてアルデさんは、主を無くしたばかりの玉座にゆっくりと座ったんです。
「父はご病気になられ、ご遺言で私が新王に即位した。今よりアルデリーゼ新王朝と号する!」
ビスマスさんは興味なさげによそ見していました。
「……こういう事なんです」
冗談好きな窓口お姉さんでも、こんな事で嘘を言うはず無い。でも、アルフレッドもレミランもシャリィも家臣達もにわかに信じる事が出来ず、しばらく何も言わない。
「……」
「嘘だっそんな話嘘だっっ」
やっぱりそうなるよな。
「ならばワシが直接見て来るのじゃ」
え?
シュインッ!
師匠は消えた。
(兄さん、兄さんはどうなったの!?)
ヒイラギは人知れず激しく動揺していた……