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急報、信じがたい報せa


 リリーの率直な言葉を誰もとがめなかった。むしろ皆、内心良く言ってくれたと思っている。


「兄上の父上から預かった大切な軍団が全滅ではないですかっ」


 遂にいつも兄に弱気なアルフレッドが苦言をていする。


「何をっアルフのクセに偉そうな事言うなよ! まだ5千も生き残っているぜ、そうだお前の残りの兵を貸せ、俺が城を落として来てやる!」


 兵の命を気遣うどころか全く反省の無いアルパダに、家臣達もレミランシャリィもヒイラギも、呆れ果てた。


「兄上っいい加減にして下さいっ、兄上は今後幕僚としての発言をお控え願いますよ! 今回の大敗の原因も兄上だとキッチリ父上に報告しますから!!」


 皆、アルフレッドが言った事に心の中で拍手した。


「て、てめっ弟の分際で」

「アルパダ殿下、今はアルジェシュナイジェ王陛下の命令で総大将はアルフレッド殿下なのじゃ、異論がおありならワシが聞きますのじゃ!」


 ズイッ

 リリーが出るとアルパダはビクッとして少し下がった。それに先の戦いで彼を守る護衛騎士も殆どが戦死していて、政治的にももはや彼をかばう者がいなかった。


「リリー師匠ありがとう、ではこれからどうするべきですか? さっき言ってた様に僕は一旦下がって街の外に出るべきかと」

「それが良いわっそれが良い」


 シャリィが叫ぶ。


「やはりそれはマズイのじゃ。一旦占拠した街を捨てるのはいきなり負けを認める事になるのじゃ。ここはこの西側の街を占拠したままで、城をにらんで頑丈な建物に宿営するべきと思いますのじゃ。それで王陛下に撤退か援軍の到来か、おうかがいを立てるべきかと」


 しばらくアルフは考え込んだ。


「分かった。ここには敵が作った落とし穴や防護柵もあるし、城からの攻城魔法が届かない範囲に防衛線を張ってここでねばってみよう。敵からの和義の使いもあるかも知れない」

「よし、ゲリラ攻撃や夜襲に警戒しろ! 目立つ高い搭を見張り台にするんだっ」


 一旦方針が決まると彼らの動きは早かった。こうして両軍決定的な攻撃が始まらないまま、城を半包囲のにらみ合いが始まった。



 ギィーン ガギィーーン!

 空中ではまだビスマスと鎧の人が戦っていた。


「あのバカまだ戦ってるよ? 師匠様もうあのユリナスを呼んで来てもらえますか、出来ますか?」


 アルフレッドの発言にヒイラギはドキッとしたが師匠は表情一つ変えなかった。


「そうじゃな、もはやここに至って正体を隠す必要もあるまい、鎧はユリナスじゃ。」

「は、はいそうです鎧の人は我が主人ユリナス様です!」

「主人って言い方ゴヘイがあるわね」


 キッとレミランがヒイラギをにらんだ。

 ぱっ

 直後にリリー師匠は王子達の前から消えた。



「このぉーわからずやっ!」

「しつこいぞお前っ」


 シュインッ!

 俺とビスマスが斬り合う間に突然割って入る影が。わわっ師匠、どうして空中に瞬間移動を!?


「ユリナスもう良いから帰って来るのじゃ。ビスマスそこまでじゃ、散れ!」


 ぴっ

 師匠、そんな犬を追い返すみたいにシッシッて。


「丁度良いあばよっ!」


 ドシューーッ

 うわ、ビスマス急降下してイバラを仕留めに行く気か?


「もう良い放っておけ! 師匠命令じゃ」

「ぐっ」


 俺はイバラの事が気になりながらも、師匠に促されてアルフ達の元に戻った。当然カブトは脱ぎ捨てているので、着地した瞬間に銀化を解いた。


「ユリナス解除!」


 強い事はバレたとしても銀竜(ししょう)と銀化の事は隠し通すつもりだよ。

 シュタッ


「アルフ戦闘はもう終結かい?」

「終結かい、じゃ無いよ! 君は何をしていた。それにやはり君が鎧の人だったんだね?」

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