救援、魔幼女 正論を叫ぶb
「我が軍、ちりじりになっております! 撤退して再編をっ」
「左翼部隊壊滅、連絡が取れません!」
「退路を断たれつつあります、お早い決断を!!」
次々に悲壮な報告が入る。それらも本当は大甘に見ている物がほとんどだった。本当は誰しもが脱出不能の壊滅の二文字が浮かんでいた。
「……こ、このままじゃ……死」(こ、この俺が、栄光のアルパカインゼット王国を継ぐ長子の俺が、死ぬ? は、ははそんなバカな事は許されんぞっ)
「お、王子?」
「ま、守れっ最後の一兵になっても守れっこの俺の命が一番大切だっ!」
「は? ハッ!」
「王子の盾となって守れーーっ!」
ガシャガシャガシャッ
突然全身鎧の騎士達が、一人の男を守り始めた。
「そいつかーーっ! そいつが大将かっ死ねーーーっ!!」
シュバーーーッぐさぐさっ!
「ぐあーーーっ」
死んだルウィナ、そしてコールディの同僚の護衛騎士達が次々に王子を守って殺されて行く。その様子を彼女は距離を取って眺めていた。
「こらレイラ、護衛騎士ならばアルパダ様を守れ!」
「バカかっそんなバカ殿守って死んでられるかって! あたしゃアンタらとは今日限りさっ」
「レイラ貴様ーっ」
レイラこと、コールディはあっさりと主人を捨てて逃走を始めた。その時であった。
「ぃやめろぉおおおおーーーーっ!!」
バシバシバシッ!
突然光の魔法の羽が飛んで来て、イバラの魔法のリボンを弾き飛ばして行く。
「来たかっ偽善者!」
シュバーーーッ!
その通り鎧の人ユリナスであった。つまり俺だよ俺!
カパッ!
こんな物いらん! もはや視界をさまたげるだけの兜を捨てた。
「お前、眷属の力を戦争に使うなーーーっ!」
そのまま俺は光の剣でイバラに斬りかかった。
「っざけんなーーーっ! この侵略者がーーっあたしはバッサバッサ殺しまくるわ、だって侵略されてんだからなーーーっ!!」
イバラの言葉は俺の心にグサグサ刺さった。そうだ、俺が意図的に避けまくっていた言葉だ。俺達は思い切り侵略に来てるんだ。
「ぐっ」
ぐぅの音も出ないとはこの事だよ。
ガギィイン!
「あたしは変わったんだよ、この国に来てお姉ちゃんも出来て王様も優しくしてくれてる、この国を守る為に殺して殺して殺しまくるわーーーっ! だけど侵略しに来てるお前は一人も殺すんじゃ無いよ、もし殺したら鬼畜呼ばわりしてやるよ、この偽善者ーーーっ!」
確かに! 侵略に眷属の力使っちゃダメ、完全にイバラの方が正論だよ……
「く、くっそーー魔法の羽!」
「あたしも魔法の羽だっ」
イバラの背中が光る。
読んでもらえ、星評価、ブックマークありがとう御座います。
目標として百万文字以内で終わるという事を考えていますが、
あともう少し続きますので、お読みいただけると幸いです。