救援、魔幼女 正論を叫ぶa
「急ぐ必要があるのじゃ」(アルパダはともかく、2万の兵が必要じゃ!)
リリー師匠の真意はともかくアルフレッドをうながした。
「いけない、すぐに兄上を助けに行かないと皆の者走れっ!」
パカラッザザザザザッ
馬に乗っている者は馬を走らせ、徒歩の者はひたすら走り出した。俺は師匠と顔を見合わせる。
『アルフレッド殿下、我は先に行ってアルパダ殿の軍を救いに向かうが良いか』
主に兵達をな……
「行ってくれるか、やはり頼りになるのは君だなユリ、いや鎧の人よ行ってくれ!」
『分かり申した!』
シュバーーーッ
俺は乗っていた馬の背から思い切りジャンプして飛び上がった。でもこんな大変な時にビスマスは何故出て来てくれないんだよ。
ー少し時間が戻ってゼブランド西側の街の戦場。
シュバーーーッ!
「オッラーーーッ侵略者共くらえーーーっ!!」
見晴らし台の搭から飛び立ったイバラは、背中から真っ赤な魔法の光のリボンを無数に伸ばすと、無慈悲に地上のアルパダ軍団の兵士めがけて串刺しにする。
グサグサグサッ!! どさどさっ
「!?」
アルパダの周囲の一団が一気に壊滅する。
「新手かー?」
「見ろ、空にビスマスみたいな人間がっ」
「いや、真っ赤だ、真っ赤な幼女だっ」
「な、何だまだこんな奴がいたのか!?」
「真っ赤な幼女だって!?」
コールディは最初のアルフレッド軍への襲撃以降、うわさは聞いていたが実際にその姿を見るのは初めてであった。
「死っねぇええええーーーーーーっ!!」
ドシュドシュドシュ!
イバラはビスマスやナスビィーと違い、そのドラゴンの眷属の力を100%一般兵士への虐殺に使い始めた。
「うわーーっ」
「ぐはーーーっ!」
いくら乱戦でも、イバラの鋼鉄の光のリボンは完全に正確にアルパカイン軍だけを殲滅して行く。
グサグサグサどさどさどさ。
「幼女のクセに……あんなユリナスの銀色みたいな力が欲しい!」
レイラ(コールディ)は頭を切り替え、自分が生き残る事だけ優先にしていたので、イバラのリボン攻撃をすんでの所でかわし続けていた。
シュババッ
ヒュルルルーーーッドドォーーーン!
しかしイバラの活躍に気を取られていると、アルパカインの兵だけがより集まっている場所には容赦なく攻城魔法が落とされて行く。吹っ飛んで行くアルパカの旗を持つ兵士達。
「うわーーーっ!」
「散れ、散れーーーっ」
「おっと散ったら格好の的なんだぜーーーっ」
「おりゃーーーっ」
ズドドドド
そこへダルアガートの傭兵部隊中心にゼブランド軍が駆け抜けて行っては、トドメを刺して行く。もはや戦いは一方的になりつつあった。