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まだモメてるの?


「え?」

「う?」


 俺と赤面したヒイラギちゃんは思わず見つめ合ってしまう。


「で、では行って参りますっ!」


 スタタッ

 いけない、彼女とも何か変になって来てしまった。


「師匠師匠、ちょいちょいお願いしますよ」

「何じゃ?」


 鎧の人である俺は彼女を小声で呼び出した。今は対策くんがユリナスをやってるんで師匠を呼び出すのも一苦労だよ。とりあえずゴブリン傭兵達に感謝しなければいけない事を話した。


「~という訳でゴブリン傭兵達を呼び出すんだけどさ、モメ無いように師匠も来て欲しいんだよ」

「ワシは今対策くんの相手で忙しいんじゃ!」

「いや逆でしょ、アイツは俺の為にいるんでしょ!?」


 なんだか師匠の態度が本末転倒になって来たな~。最終的にアイツを溺愛し始めたら泣くよ。


「ハイハイ行けば良いのじゃな?」

「なんだかやっつけ仕事ですね!?」


「ユリナスよ来るのじゃ~ヨショシ」

「ハイ、シショウサマ、ナンデスカ?」

「少しつまらない仕事がある故、先に割り当てられた部屋に行っておくのじゃ!」


 ツマラナイてちょっとちょっと!


「いやいや彼を一人で行かせて大丈夫ですか?」

「誰もユリナスが世界に同時に二人存在するかなぞ、確認してるヒマな奴なぞおらんのじゃ!」


 え、どういう事?

 スタスタ

 見てる間に対策くんは一人で兵士達に行先を聞いて歩き出した。本当に大丈夫かな??


「シショー、ヘヤ、ワカッタカラ、サキニカエッテオクヨ!」

「うむうむ、大人しくしておくのじゃぞ~」

「ハイッ」


 調子良いヤツだな~何だか俺みたいだよ……そうして多少の不安を抱えつつゴブリン達とヤサグレ隊? が集結している第三曲輪(くるわ)に向かった。



 ー第三曲輪、馬出し広場


「だから俺はゴブルラの暴挙を止める事が一番皆の命の危険を減らすと思ってたんだよ!」

「しかし我の行動が結果的にアルパカインの大勝利に繋げたと思う」

「いやお前自分で自画自賛するなよ! 大勝利てか、敵軍皆逃げただけじゃねーか」

「今のは明確な第三王子批判に該当するぞ」

「何、お前アルパカに尻尾振ってんだよ!? 村が攻められたの忘れたか!」

「忘れてはおらんが今はこの国に付いている!」


 まだモメてんのこいつら……


「ヒイラギちゃんこれどうするの?」

「さぁ、ユリナス様が何とかして下さい」


 え~ヒイラギちゃん冷たいなあ。


「よ、ゴブリン共ばっかりで俺達がないがしろじゃねーか?」

「そーだそーだ、銀くれ!」

「いや銀はちゃんと払うから! でも今は遠征中だからね。帰ったら渡すからさ」

「銀くれー!」


 うーん、何で俺の配下ってこんなんばっかなんだろう? 師匠こんな時は正体現わして、皆を黙らせてくれないかな~。俺はひたすら皆のモメ事をなだめ続けた……早く寝たいふぁ~。

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