よし、このまま本国進撃だぜっ!?b
「取り消せっ! 汚れ無き我が姉上におかしな風聞を立てないでもらいたい、アルパダ兄上とて許さんぞっ!」
うわ、アルフレッド激怒、そうかそんなにアウレ姉さんが好きなんだな。けど姉上は悪役令嬢と言われるくらいに男と遊びまくってますよ~、全然ケガれてますよ! とか言ったら殺されるか。
「分かったよ冗談じゃね~かよ。そう怒るなよ! それよか頭を切り替えて明日にはゼブランド王都に向けて進軍するからな!」
早っ、明日はいくら何でも早すぎだろ。
「兄上、それは早すぎます」
「アルフレッド殿下の言う通りじゃ、今日この西砦に入城したばかり。この地の安定に一か月は滞在したいのじゃ!」
「ぬるいんだよっ! 兵は神速を尊ぶんだぜっ一週間だ、一週間したら俺の2万だけでも進軍を開始するからな! あばよ」
ツカツカツカ
アルパダは言いたい事だけ言うと、くるりと背中を向けて歩み出した。
「あ、お待ちを兄上!!」
「いいじゃない放っておきましょうアルフレッド。けれど貴方がわたくしを守ってくれて嬉しいわ」
ぎゅみっ
アウレ姉さんはアルフの奴を優しく抱き締めた。
「あ、姉上……あぁああ、お止め下さい照れます」
物凄いシスコンだ!! でもまあいいか。
『しかし一週間で出発は早いな。連中だけ進ませてみるか?』
「いやそれはダメじゃ。情報では現在ゼブランド軍は生き延びた者を含め、総勢3万5000程と言われておる。アルパダ殿下の2万だけでは返り討ちに逢う可能性がおありじゃ」
そうか、アルパダ軍だけでは全滅するかも知れないのか……それもアリじゃん!
「いくらあんな兄でも見捨てる訳には行かない。それに兵達も不幸だ。仕方が無い、兄の進軍に合わせて我らも同時に一週間後に出発としよう」
「本国侵攻となればゼブランドも死に物狂いじゃぞ、今回の様な奇跡の勝利は無い物と考えねば」
「そうですねリリー師匠、心します」
こうしてアルパダがやって来た事による騒ぎは一応収まった。
「あの、鎧の人様ちょっとちょっと」
ヒイラギちゃんが呼んで来るんで小声で応える。
「何かな?」
「ゴブリン部隊の人達とヤサグレ隊の皆さんが、本物のユリナスさんと会いたいと。放置はいけませんよ! そ、それにゴブルラさんも精神的に疲れているとかで、お相手してあげて下さい」
そ、そうだ、俺も色々忘れていたっ! 休んでる場合じゃ無かった。それにしてもゴブルラの事まで気遣うなんてヒイラギちゃん良い子過ぎるでしょ。
「ありがとう、俺は師匠と君でもってる様な物だよ」
「もぅ!」
え?




