停戦、エーリュク決死の叫びb
そう言えば俺は当っても大丈夫だから気にして無かったが、俺達の周りを雨あられと弓矢や魔法弾が飛び交っていた。吊り下げて飛んでる内にエーリュクとダルアガートが骨だけになってたりすると、笑えない冗談だよなハハハ。
ビュイィーーン!
俺は吊り下げた二人が弾に当たらない様にアルフの元へ急いだ。
ーアルフレッド本陣部隊
彼らは正門を攻撃する前衛部隊の少し後ろに陣取っていた。
ワーワーッ
その中に戦いとは関係ない騒ぎ声が上がり出す。
「一体何事だ?」
「殿下、変な物が飛んで参ります!」
「あれは鎧の人ではないですか?」
「変な物をぶら下げてるぞっ」
シュインッ! ぱっ
「あれは敵司令官エーリュクと顧問の傭兵団長ダルアガートじゃ。鎧の人が和義の交渉に連れて来たのじゃ。出来うれば早めの停戦命令をお出し願いますのじゃ」
ビクッ!
突然のリリーの声に第三王子は背中が湧きたつ。
「リリー様いつの間に!?」
「もう聞いてもムダですわっ」
「アルフレッド王子ーーっ! とにかく連れて来たから停戦命令をっ!」
なかなかにカオス気味だが、鎧の人が敵司令二人を連れて来た事実は確認したアルフレッドは、片手を上げた。
「よし停戦信号魔法だっ! 重ねて伝令の早馬も各部隊に出せ。だがもし向こうから攻撃してくればチュウチョするな、剣を捨てるならば斬ってはならんぞ!」
ヒューーーンッパンパン!
アルパカイン側からも停戦信号が上がった。
どさっ
それを聞いて俺は二人をアルフレッドの前に落とす。途端に近衛兵に囲まれる二人。
「この二人か?」
「こりゃドーモ!」
「この少年がアルフレッド……王子殿下」
「乱暴に扱わないで下さいよ」
「君は声がユリナスに似てるね!」
「アッ」
俺は思わず地声でアルフと話していた。
「び、ビスマスと共に停戦を徹底して来ます! ゴホンッ三人で砦退去の手順を話し合っておいて下さい!」
気持ち低めの声で言い直す。俺はそのまま空でビスマスと合流すると、あちこちの部隊に停戦を徹底させた。こうして一応両軍の戦闘は停止したのだった。
パカラッパカラッ
人質となったエーリュク&ダルアガートの命令をゼブランド側の伝令の早馬が砦内に伝えに行く。これからと粛々と砦内のゼブランド軍の退去が始まるのだ。一件落着かな?
「本当におとなしく退去して下さるのかしら?」
「今更抵抗してもムダなのじゃ、連中もバカではあるまい」
「あらそう」
そんな時、黙っていたエーリュクが突然口を開けた。
「皆さんに聞いて欲しい事がある、そこにいる自称鎧の人の正体についてだっ!」




