停戦、エーリュク決死の叫びa
結局停戦信号など無視して皆は戦い続けている。
「ダメだっ以前の砦戦の時と同じく全然止まない!」
俺が観た限りでも眼下の戦闘は続いたままだった。
「どうするのじゃ?」
「どうするのじゃ? じゃねーよ、俺達が停戦命令を下したのにテメエらが戦い続けてりゃ、斬られ損じゃねーかよ」
「仕方が無い、戦闘再開を命令させよう!」
エーリュク君が迷い出した。いやこの機会を逃したらダメだっ。
「師匠、後から来て下さい!」
「こっちは一瞬で行けるのじゃ!」
返事を聞くか聞かないかで俺は目の前の二人の上に飛んだ。
ビュバッ
当然二人は俺が攻撃するとでも思ったか身構えたが、構う事ぁ無かった。
「ちょっとゴメンよ!」
「うわっ!?」
「何する気だっ」
ぐばっ!
エーリュクとダルアガートのそれぞれ制服と鎧の襟ぐりの後ろをつかむと、親猫が子猫を吊り下げる様に持って空を飛んだ。
「ぎゃーーっ!?」
「何だ何だぁ」
「貴様っ司令官殿を返せ!」
「御本人の意思なもんで、少しお借りします!」
「言ってない言ってない!」
「離せって!」
ふわっ
二人の叫びを無視したまま二人を吊り下げ、第三曲輪の上空に飛び上がる。
シュパパパッ
やはりゴブリン達は城壁の上から攻撃を続けている。
「ゴブリュンさんゼブランド側から停戦命令が出た、一時攻撃停止だっ皆に伝えてくれっ」
「えっユリナスさん?」
大声で叫ぶと、なんとかゴブリュンさんに届いた様だった。
「ぶら下げてるのは誰ですか?」
「ゼブランドの司令官だっこれから和平交渉に行ってくるよ!」
「エーッ!?」
第三曲輪の事はほどほどにそのまま南下を始める。
ムゴォーーーッ!!
げげっ何故か俺の1/10黄金のゴーレム像が巨大化して門を守っている!?
ビシッバシッ!
味方の第三曲輪の城門を破ろうと攻撃するゼブランド軍、それを守る……ヒイラギちゃん!? どんなネジレ現象だよ。
「何だあれは、司令官殿か?」
「何故吊り下げられてる??」
「ヒイラギちゃん、俺だよ俺、オレオレユリナス!」
「ぎょぎょっユリナス様!?」
彼女は飛び上がるほど驚いている。
「停戦命令出たでしょ? アルパカイン側も攻撃を止めてあげてっ!!」
「えっえっ!?」
「ここが一番の激戦だから、とりあえずココで戦闘停止してよっ!」
「は、はい! 皆の者戦闘停止です!!」
「お前らっ俺達も止めるからお前も止めろよっ」
「お前らが先だっ!!」
「局地で止めるのは無理だ、もはやこうなれば我らを一刻も早くアルフレッドの元を連れて行け!」
「おめえは良いけど、さっきから目の前を弾がビュンビュン飛んでるんだぜ!」




