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ひるがえる旗


 後ろから盾を持ちながらゴブリュンさんが走って来た。その盾に弓矢が当る。

 カンコン!


「ユリナスさん、ここは第三曲輪(くるわ)と言うが、そこの城門の外側からゼブランド軍約三千が攻めて来てて、さらにその後ろにアルパカ軍がそれ以上の軍団で攻めて来てるよ!」


 今エーリュク君とダルアガートに問い詰められてて、忙しい時ナンだけど!?


「お前ユリナス話聞いてるのか?」

「コラ貴様、こっちを向け!」

「ちょ、ちょっとゴメン」

「お、おい?」


 二人とも本当にごめん。俺は二人を無視してゴブリュンさんに向きなおす。

 くるり


「ここはもう良いから俺一人で防ぐよ。皆で門の城壁まで下がって内と外から三千のゼブランド兵を挟み撃ちにしてくれ」


「へい!」


「おい貴様っ僕達と話し合ってる最中に着々と指示を出すな! 鬼か?」


「それとゴブリュンさん例の旗を出す様に!」

「無視すんなよ!?」

「分かりました! それとゴブルラのお陰でこんな感じになったんです、どうしますか?」


 ハッとすると、俺の後ろ近くにゴブルラの影も見えた。彼女は心なしかおぼつかない様子だ。


「そうか……皆俺のせいだ、貴方はゴブルラを守ってくれないか?」

「わかりやしたよ、それは最初から考えてました。聞いたか野郎共馬出し門前まで後退だ!!」


 ゴブリュンさんはゴブルラをかばいつつ、ゴブリン軍団は第三曲輪の末端まで後退して行く。俺の後ろはガラ空きになった。

 ドドド


「おいおいゴブリン共が去って行くぜ!」

「貴様らーーーっ!!」


 エーリュクそっちのけで話し合った俺達に彼の怒りが頂点に達した。



「本当なんだ、俺は本当にアンタ達をだます気は無かったんだよ! ビスマスとだって最初は本当に殺し合いの戦いを演じてたんだ、それが色々あって今は同じ軍勢に属しているだけなんだ!」


「着々と指示を出しておいて、ケロッとした顔で良い訳するなーーーっ!?」


 俺の態度のせいでエーリュク君の怒りに火がそそがれる。


「怒りは分かるが本当に本当なんだ。俺は最初から誰かを騙そうとしたり陥れようとか思った事は一度も無いんだ。その時点時点で一番良い事をしようと思っていたら結果的にこういう事になっただけなんだ。だからエーリュク君信じてくれないか?」


「信じられる訳あるかーーーっ!!」

「やめな、コイツもうノレンに腕押しだぜ」


 怒り狂うエーリュクの肩をダルアガートが押さえた直後だった。

 バッサァッ!!

 第三曲輪の各所からアルパカインゼット王国の巨大な旗がひるがえった。


「クッ砦司令殿、第三曲輪にアルパカの旗が上がりましたっ!!」

「何ッ!?」


 エーリュク君の後ろから報告が入る。俺はその声を聞いて、再び振り返って見てしまった。

 くるりっ

 確かに俺の背中に続く城壁の上にアルパカインの旗が揚がっていた。ゴブリュンさん達がやってくれたか。

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