ヒイラギ突撃……
シュパパパパッ
弾数が多く、魔法の羽から逃れ兵士達に当たる寸前の攻城魔法の火の玉を、ビスマス自身がライトニングスプラッシュで駆逐して行く。彼女自身が人間CIWSみたいになっていた。
「す、すごい蒼い女は無敵だ……」
「うおーーわが軍は無敵だ、弾は当たらないぞ行けーッ!」
「オオーーッ!」
当然の様に城壁からの弓矢や攻撃魔法は当る訳だが、ビスマスの活躍に興奮した兵士達は速度を速めて進んだ。
ドドドドド……
「王子殿下、敵の外門にゼブランド軍自身が突撃を掛けようとしておる、恐らく味方のゴブリン傭兵はそこにおるのじゃ、その敵部隊を中と外から挟み撃ちすべきかと思いますじゃ!」
「そうしよう!」
「早っ」
「よし、突撃部隊は外門の部隊を後ろから攻撃だっ!」
するとずっと地位を気にして黙っていたヒイラギが前に進み出た。
ズイッ
「お待ちください、その突撃部隊に私もお加え下さい、ていうか絶対行きます!!」
「一刻も早くユリナスに会いたいのじゃな?」ボソッ
カアッ
師匠の小声にヒイラギは正直に頬を赤らめる。
「ち、ちが」
「良いだろう、ヒイラギさん君もユリナスの部隊を率いて合流するんだ」
「はい、ありがとう御座います王子!」
「ヒイラギ、キオツケテ」
「待つのじゃ、これを持て」
こそっとリリーが小さなカバンを渡した。
「こ、これは!?」
「何をしている、急ぎなさい!」
「ハッ! ジャラーさんトゲーさんグサーさん、やさぐれ隊の皆さん行きますよ!」
「誰がやさぐれ隊だよ!」
「仕方ない、この可愛い隊長さんと一緒に行くぞ、オーーッ!」
「銀くれ~」
パカラッパカラッ
ヒイラギは三人のモヒカンPTと共に100人の隊を率いて突撃して行った。
「私だって強かったら鎧の人を手助けしたい!」
「あのレミラン、目の前にユリナス居ますよ~」
「オレ、オレ」
「あ」
キラッヒュインッ!
にらみあう鎧の人ユリナスと、エーリュク達からも蒼い光は見えた。
「報告、大変です攻城魔法が敵部隊に当たりません、恐らく蒼い光はビスマスです! 敵部隊なおも接近中!」
兵士が歯を食いしばりながら叫んだ。
「ふぅ良かった攻城魔法を防いでくれてるのか……」
だが俺の安堵のつぶやきが良く無かった。
「ふ、ふはははは、そうかそういう事か! 君とビスマスはもともとグルだった訳だ、ビスマスが我らを襲いそれを君がタイミング良く助ける、そうして信用を勝ち得て反乱要員のゴブリン部隊を送り込んで来た訳か……良くできた喜劇だよ!」
エーリュクくん、そうじゃ無いよ。本当に違うんだ!
「違うんだ、最初ビスマスとは本当に対立してたんだ!」
「そんな話、信じられるか!」




