ウサミミタウンと大都会の剣!b
え、お兄さんいるの、その上まだ二人もいるの?
「兄だが隊長では無い。それをバカにしているのかっ!」
ヒッ怖い苦手なタイプだ。
「兄上、この方はその様な事はおっしゃっていませんよ。少しは話を聞いてみましょう」
「この様な場所に軟禁して信用出来るかっ」
漂着したの助けたんでしょ? ちょっとは信用してよ。
「この者聞く耳持たぬのじゃ~そろそろ腹が立ってきたのじゃ」
いかん、師匠がイライラし始めた。
カチャッ
俺はアルフレッドとの訓練時に持っていくつもりだった、勇者アルジェシュナイジェの剣を腰から外した。
「な、何かっ!?」
「これはアルパカインゼット王国の勇者とうたわれた王子の由緒正しき宝剣です。これをお渡しするのでどうぞ信用して下さい」
スチャッ
俺は煌びやかな勇者の剣をジギスムントに手渡した。
「なんと、これは美しい……凄い装飾じゃないか、これが大都会の剣!」
「ちょ、私にも見せてくれい」
おっ怖いお兄さんも興味シンシンだぞ。二人して一生懸命剣をながめてる。
「ユリナス様あれって渡したら王様に叱られますよ!」
「その前にアレはワシとの思い出では無かったのかぇ?」
あっ一瞬で忘れていた。でももう返してとは言えない……
「うむこれは見事な鍛えだ、武人として分かるぞ」
「兄も信用した様です。この様な大都会王族の剣を頂いたのに、船が壊れた我らには返す物が無い。しかし物では無い物でならお返し出来ます。ここのゴブリン達は耳が長くてまるで兎の様だ、だからこの地をウサミミタウンと名付けてはいかがでしょうか?」
シィ~ン
ゴブリンはウサギに見えないし!
「却下じゃ。この地は銀竜村じゃ」
「貴方っ、そんな名前付けたら、我が国の領土を増やそうとしてると思われますよ!」
「そ、そうかなあ」
うわ、そんな野望が。フレエルさんと良い勝負してるよ。
「そ、その事はまあおいおい考えるとして、船はどうされたんですか?」
「うむ、南の日の良く当たる地から見果てぬ東の地に向けて出港したはずが、食料補給した方が良いのではとか何やかやで気が付いたら迷っていて、北上して西に向かっていた。その上難破してしまい壊れてしまった。面目ない!」
ぺしっ
ジギスムントは額を叩いた。
「たるんでおるからだっ!」
もうお兄さん良いって。
「そうだっ舟が修理するまでここに居て下さい、それでフレエル王女に恩返し出来るよ」
「それが……我ら船を修理する資金がもうありません」
「じゃあ王女に連絡を」
ガシッ
腕をつかまれる。
「フレエルにだけは内密にお願いしたい!」
彼の目は切実だった。




