ウサミミタウンと大都会の剣!a
「とにかく緊急事態だから今すぐ飛ぶっユリナス銀化!」
俺の合図でファニーが後ろに倒れ込み、受け止めてすぐさま飛び立とうとする。
「ユリナスさん王子との訓練は良いんですか?」
「お姉さん今日は行けないって伝えといて!」
「いや私そういう役職じゃ無いんでムリ」
「ヒイラギ、ワシらも行くのじゃ」
「はい!」
俺と師匠はそろってお姫様抱っこしつつ飛び立った。窓口お姉さん鍵かけてくれないかなあ。ムリかっ。
ー銀竜村新代官館
バンッ!
「クヌアーいるかい?」
「何だいユリナスさんじゃ無いかぃ?」
「姫もおるぞよ」
「ワシも居るのじゃ」
「おじゃまします」
「大所帯だねえ」
いきなり飛んで来た俺達をクヌアーは目をぱちくりさせて見る。
「そんな事はどうでも良いんだ! ジギスムント達は、漂着者だよ~!?」
「あ、あ~あの人達ならまだ旧代官館跡にテント張ってるよぉ。それこそ大所帯だからねえ」
「乱暴な事してないよね!?」
「それは無いよぉ、もうヘロヘロで抵抗する気力も無かったからねえ」
「食事は?」
「ちゃんと出しているよ。病人はちゃんと看護してるしねえ」
一応安心した。
「今すぐ行く!」
俺はそのままファニーを連れて飛んで行き、師匠達も付いて来た。
ー旧代官館跡
そこには更地になった場所にいくつものテントが張られていた。
「みなさ~んお昼ごはんですよ~キャハハッ」
ガンガン!
ちょうどゴブリィ達が食事を運んでいたが、遠征隊の皆は気力が無い様で受け答えが無い。とりあえずジギスムント隊長だっ。
シュタッ
「ウサミミとワニに囲まれし小さき王国の第17次遠征隊の皆さんですよね? 俺は敵ではありません。隊長のジギスムントさんいらっしゃいますか?」
「きゃっユリナス様?」
ゴブリィ達があいさつも無い俺の大声に驚く。
「はぁはぁ……いかにも17次遠征隊だっ! そして私がそのリーダーのジギスムントだっ君は何者かね?」
よろよろと彼がテントから出て来た。
「俺だよ俺、いや遠くから見てただけですが、貴方の出陣式を見ておりましたよ!」
「気を付けろっ貴様っ何が狙いかっ!」
突然ジギスムントの後ろからヒゲを生やした青年が出て来た。ちょっと怖そうな顔をしている。
「何の狙いも無いですよ、俺はフレエル王女の世話になった事があり、その恩返しをしたいと思っていた所です。ですから敵ではありませんよ!」
「まあフレエルの知り合いなの?」
今度はエリエルさんも出て来た。ホッ無事か。
「キエーーッ! まだ信用出来んわっ」
「だからこの方は何なの?」
「兄です。あと二人兄が居ます」




