この忙しい時にまたお客かっ!
「今日はどうされますか?」
「またいつも通りアルフレッドと軍事訓練だよ。アイツもうちょっとふざけた奴かと思ってたら、とんだ大真面目野郎で手を抜く暇も無いよ」
俺は肩をすぼめて両手を広げた。
「怒りますよ、国の命運をかけて国を挙げて侵攻するのに、手を抜く訳無いじゃないですか!」
「安心してアジサイくん、いやカールは今回は出撃しないからさ」
「いえそういう訳じゃ。申し訳ありません本当に」
うわ、マズイ事言ったかな。ようやく最近元気になって来た所だったのにゴメン!
コンコン
「ユリナスく~ん訓練だよ」
「はぁ~い」
そんなこんなでアルフレッドに付き合う日々だ……いいのかこれで。
ー次の日
当然だが侵攻まで二週間マイナス一日になった。
「気が重いゴブリン傭兵の件どうしよう」
「嫌ならもう逃げれば良いのじゃ」
師匠甘いよ! 砂糖より甘くて優しいよ。この師匠なら頼めば城を壊すとか難なくやってくれそうだよ。
コンコン
早っ! 今日は早すぎるよアルフレッド。まだ朝食の途中だよ……俺は飲み掛けの紅茶を置いた。
コトッ
「はぁ~い」
だが率先してドアを開けた。
「あ、おはようございま~す」
「ぎょっ窓口お姉さん? どうして」
玄関の外にはメイド姿に変装した窓口お姉さんが立っていた。
「それが、エディファニー王女様がアルパカルカ城に潜入したいとおっしゃって」
「よう、久しぶりなのだ!」
ビュシューーーッ!!
俺は猛烈に紅茶を吹いた。お姉さんの横には本当にメイド姿に変装したファニーが立っている。
「とにかく入って!」
ビュンッ
俺はファニーとお姉さんの腕を強引に引いた。こんな所を見られたらどうなる事か、ただでさえややこしい時なのに!?
ー応接室
カチャッ
「お紅茶に御座います」
「うむ気が利くな」
ヒイラギちゃんありがとう。
「けど、どうして来ちゃったの? どうやって来たのさっ」
俺はドトウの様に聞いてしまう。
「落ち着け、フィアンセが会いに来て何か不都合があるのか」
「フィッ!?」
カシャッ
ヒイラギがポットを落としそうになる。
「このメイドさん何を慌てておるのだ」
「あ、あのこの御方はフィアンセとは? リリー師匠様は……」
「仕方無いのぅ、宣言した時こそ前後するがワシがフィアンセ一号でコヤツがフィアンセ二号じゃ」
宣言する物なんだ。
「リリー様公認なのですか?」
「特例でね。アハハ」
「そ、そうで御座いますか、ユリナスさま御モテモテで御座いますねウフフ」
ピシッ
心なしかヒイラギちゃんのミケンが険しい。




