そうして、侵攻、二週間前に、なったのじゃー
「社交辞令じゃ」
むっいつもは会いたくないオマケだけど、今日はこの人に相談がある訳で。
「……という訳でダルギッド、どうかイバラを確実に倒すの手伝って欲しいんだっ!」
「まあっ」
「断る!」
早っ。人類最速の断りじゃないか?
「何でだよ、あんたイバラを懲らしめるって追い掛けてたし、黄金竜復活の件もあるし、渡りに舟でしょ!?」
ジイさんの顔が険しくなる。
「喝ッ!! 何を言うておるか、今侵略しようとするはアルパカインゼット王国であり、攻められるはゼブランド王国であろうが、このダルギッドが何故に侵攻する側に味方すると思うのか!」
確かにっ! 俺侵略する側に属していたんだっけハハハ。
「その通りなんだけどさ、貴方の親友の息子で俺の親友のアルフレッドが首をはねられそうなんだよ、そこを何とか」
「断る。知らぬその様な奴は首をはねられれば良い。親友ならば侵略を止めよ!」
確かにっ!
「俺の力じゃ止められないよ」
「お主の愛する師匠とやらと城を崩すなり、王を暗殺するなりすれば良いではないかっ」
俺は……冒険者であって、政治家でも運動家でも思想家でも無いから自分と仲間に被害が及ばない限り、そこまでする気は起きないよ。無責任でダメかな? 歴史の流れって物を俺と師匠が覆して良いと思えないんだ。という訳で……
「聖女さん、この爺さんを叱ってくれないか? 聖女様からも何とか言ってくれないかな?」
「お断りします」
早っ。せ、聖女さんまで?
「一応、何故です?」
「ダルギッドとおおむね同じです」
ですよね~、侵略する方が悪いに決まってますよね! 無理じゃん、この二人に助けてもらうの無理じゃん。
「でももし黄金竜を復活させようとしたら?」
「人間の力では無理でしょう。聖女と加護持ちが心を合わせねば封印の門は開きませんよ」
「……ですよねー」
でも聖女って言葉に何か引っ掛かるな。何か忘れてるかなあ? しかし俺はトボトボとこの国から出るしか無かった。
ーそうして、侵攻、二週間前に、なったのじゃー
もうすぐレミランの館からご招待がある。それ以外はアルフレッドと軍事訓練の日々だ。俺の荒くれ者軍団もジャラー・トゲー・グサー以下大半が召集に応じてくれた。もちろん銀目当てだ。
「ふぅまだまだ侵攻まで……えっもう2週間前じゃん!?」
俺はカレンダーを見て目玉が飛び出そうになる。ウカウカしてる内に凄い日にちが経ってる。当然あれからイバラ対策も銀竜村の事もほったらかしだ。どうしよ?
「冷や汗出てますよ!」
「う」




