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妹、アブナイお味方……a


 カシィイーーーンッ!

 俺は本能的に目の前に現れたイバラに魔法の光の剣で斬り掛かった。


「ちょっとぉお兄ちゃんやめてっ!」


 イバラも背中から伸びる無数の赤鉄の深紅のリボンを、タコの様に前でくるませて俺の剣を防ぐ。


「ふざけるなっ何が目的だっ!?」


 ギリギリギリ

 鍔迫(つばぜ)り合いで火花が飛び散り、広いとはいえ王宮の中はチカチカと色々な光が点滅して、一瞬にしてお化け屋敷の様な状況になった。


「これはっこれは一体何事ですかな!? 青い女ビスマスでは無いのですかな??」

「ビスマスじゃないっ! だがっ」

「違うよ、お兄ちゃんイジメ無いでよっ、王様ナスビィーお兄ちゃんを止めてよ、いつもこうなの」

「貴様っ!!」


「ナスビィー様どうぞ落ち着いて下さい、その女の子は停戦を呼び掛けてますわっ」


 ちっ見た目で判断するなよ、こいつは本当に悪い奴なのにっ。


「お兄ちゃん、剣を収めてくれないと王様に黄金竜様の事を教えちゃうよ」ボソッ


 イバラは火花散らしながら耳元でささやいた。


「その前に俺がお前を倒す!」

「ムリだね、あたしが全力で逃げれば捕まえられないし、捕まえても女の子は殺せないでしょ?」

「いやっ世界を守る為に息の根を断つ!」


 シュリンッ

 俺が叫んだ直後、イバラは深紅のリボンを収納した。よっと……俺は勢いで前に倒れそうになる。何だよ!?



「うわーん、今日のお兄ちゃん怖いよ~いつもは優しいのにどうしちゃったんだよ。私もゼブランドに味方するのが気に入らないの? 功績を独り占めしたいの? 邪魔はしないのに~ウワーン」


 イバラが泣きマネしながら大声で叫んだ内容で、俺とイバラと王様の構図がガラッと変化した。途端に俺は小さい子に圧を掛けてるダメな兄貴分みたいな設定に。


「なっ!?」

「い、今のはどういう事ですかな? そこの強きおさなごも我が国にお味方下さると? ナスビィー殿、どうかワシに免じて剣を収めてくれまいかな?」


 くそっこれ以上攻撃したら俺が悪人みたいになる。しかもコイツの事だ、人質を取りながら全力で逃げれば俺でも捕まえられないかも知れない。こんな時にビスマスか師匠が居れば。

 シュィンッ

 俺は魔法の剣を収めた。


「王様っ勘違いしないで! ナスビィーお兄ちゃんはいつもは優しいんだよ」

「分かっておりますぞ! して、そなたの名は?」

「あたしの名前はイバラ、ナスビィーお兄ちゃんの妹分なの! 凄く強いのよ」


 王様の目の色が変わる。正体不明の俺よりも仮面も付けて無い純真な幼女に見えるイバラの方が手なづけやすい、そう思ってるんだろうな。

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