誰だっ!?
キュリッ
フレエル王女がシンチョウにネジを回して行く。
「ネジが3つとも取れました」
「ではカバーをスライドさせて外して下さい」
「はい」
カパリッ
王女さんがゆっくりカバーを横にずらしながら外すと、内部にはこまかいパーツや色とりどりの魔導線がビッシリと詰まっていた。こりゃ素人には訳が分からないよ。
「でもふと思ったんだけどさ、カーミラーが機能凍結させてるんなら今トンカチとか魔法とかで無理やり破壊しちゃったらダメなの?」
「だまらっしゃいっっ!!」
どビクッ
俺ご主人様だよ、そんな大声出さないでよ。
「な、何だよ」
「大声失礼致しました。機能凍結すると言いましても時間まで止めている訳では無いのです。魔法爆発物単体でも突然破裂してアジサイ殿が死亡する場合があります。本来なら解除する暗証番号などがあるのですがそれが無く、解除する暗証番号代わりに分解する事だけが事実上の安全装置なのです。だからマニュアル通り分解しないととても危険なのです」
ヒイラギちゃんが深刻な顔をする。
「OK、邪魔して悪かったよがんばってくれよ」
「お願いしますカーミラー様フレエル様」
「わかってる私がんばるから!」
「では王女、まずはそこの緑色のケーブルを切って下さい」
「はい」
パチッ
慎重な分解作業が始まった。でもこれ、どのくらい時間かかるか分からないぞ!
カチャッカシャッパチッ
俺達は無言で二人を見守り続ける。
「そうじゃな、ワシが紅茶でも入れてあげるのじゃ」
「あっ師匠さま私がやります!」
「良いのじゃ、ヒイラギは作業を見守ってやるのじゃ……」
「し、師匠さま!?」
うそーっ俺以外の他人に冷たい師匠がヒイラギちゃんを気遣って? ちょっと感動するよー。
「メイドさんごめんなさい汗を拭いて欲しいの」
「わかりましたっ」
コンコン
ヒイラギちゃんがタオルを取ろうとした時、突然入口のドアからノックが鳴った。
ドキーーン!
全員がぴたっと動きを止めて顔を見合わせる。
ごきゅり
「わたしが」
「いや、ロルフや兵士かも知れない。俺が出て時間を稼ぐよ」
「でもどうやってどこに運ぶ!?」
「動かすととても危険です」
「仕方がないのぅこのままの状態で3人同時に運んでやるのじゃ。多少揺れるかも知れんがのぅ」
え、そんな事出来るの?
コンコン
「出来ればここでこのままが……」
「とにかく出るよっはぁ~~い!」
俺は恐ろしく緊張しながらドアを開けた。
ガチャリッ
「ユリナス、来ちゃった!」
うっ。




