師匠とマリ
ザッザザッザ
ー銀竜の洞窟の外
「うーーん、数百年ぶりの外は気持ち良いのぅ」
師匠が猫の様に背伸びしてるよ、可愛い。
「よし、こっからは飛ぶぞよ!」
とか言いながらまたファニーが後頭部から倒れ込む。
ふわっ!
「うわっせめて俺が銀化してからにしてよっ!」
ガシャッ
持っていた数本の剣を落として、危うくファニーを受け止める。
「よし、ワシも飛ぶぞ、えいっ」
シュバッ
人間形態の師匠は普通に飛んだ。
「ユリナス、全身銀化!!」
シャキッ!
俺は一瞬、抱き抱えたままのファニーまで巻き込まれて銀化しちゃうんじゃと危惧したけど、それは大丈夫だった。彼女本人は全く心配して無いみたいだが……
シュゴーッ
そうして俺達は一気に街に戻った。
「師匠、あの家の中庭に降ります!」
「わかったのじゃ!」
たっし! すとっ
俺達は中庭に降り立った。
カタッ
待ち構えていたのか、物音が聞こえたのか、すぐにマリが中庭に出て来る。
「あらおかえりなさい。って結局銀ピカのままじゃない」
「また世話になるぞマリよ」
彼女はのん気に片手にティーカップを持っている。
「はぁ」
「安心して! 師匠から命じられた修行を通じて解除法は会得したよっ!」
「ほほぅこんな短時間で? で、そのお姫様の横のお姉さんはダレなのよ、もしかして盗賊のクヌアーさん?」
くいっ
彼女は紅茶を口に含んだ。
「違うよっ、この御方こそ俺の師匠の銀竜、シルバー・リリー・ドラゴンそのお人だよっ!」
「ブシューーーーーーッ!」
マリは突然紅茶を3ミュートロ程吹いた。
「何じゃこの噴水女は? 失礼な奴じゃのぅ、こやつが大家のマリかえ?」
師匠が物珍しそうにマリをじろじろ見る。
「げはっごほっぐはっ。はぁはぁおおお姫様、この人本当に銀竜なの?」
「そなた何を慌てておる? ユリナスが嘘を言う訳なかろう、この女は本物の銀竜であるぞ!」
サーーッ
何故かマリの顔から血の気が引いて行く。




