窓口お姉さんと会話が弾む
「あら、そんな気をつかって下さらなくて結構ですわよ、リリー師匠殿は良いのかしら?」
本気で全然怖がって無いんだな? 普通あんな話聞いたら少しは焦るでしょ……
「師匠はアルフレッド殿下が相手してくれてるので大丈夫です。それに常にメイドが一人ついておりますので」
「あ、そ、じゃあお夕食のご招待しなくてはならないわね」
「いえ、俺達は明日の朝までそこらに潜んでますので」
アウレリアーナは顔を斜めにしてこちらを見た。え、何か変な事いいましたっけ?
「ふっ読めましたわ。貴方謎のモンスター退治にかこつけて、私にお近付きになりたいのですわね?」
違うわっ! アンタが謎の吸血鬼に襲われてるの事実だろーがっ。
「違いますけど……」
「あの~私はどうしたら?」
窓口お姉さんが間に入った。
「貴方は好きにして良いですわよ、帰りたくば帰りなさい」
「では失礼致し」
帰ろうとするお姉さんのソデを引っ張って小声で止めた。
「ダメだよいてよ、アンタがいなくなったらお姫様と気まずいよ」
「いいんですかぁ? 私が居ない方が王女様襲いたい放題じゃないですかぁ」
「するか!」
「何をごちゃごちゃ言っていますの?」
「いえ……」
結局俺達二人して居残る事にした。
むしゃむしゃむしゃ
お姫様が王族達と夕食を楽しむ間、俺達は二人でメイドさんが持って来た豪華夜食を食べる。
「残り物で作った割には美味しいですねえ、でも貴方が私の事それ程好きだとは知りませんでした。でもごめんなさいっっ私はそれ程でも」
「ブーッ何の話ですか!?」
俺は夜食を吹いてしまう。しかし別に残り物じゃないでしょ?
「いや、さっき君が居ないと寂しくて死んでしまうよって止めたじゃないですか!」
「言ってるかっ!」
「そですか? 話は変わりますが、王女を襲ってるのって吸血鬼とは限りませんよ。例えば巨大吸血蚊とか吸血コウモリとか、亜人では無いのが出て来ても腰を抜かさないで下さいねえ。私死にたくありませんので」
本当に話変わるな! でも確かに亜人とは限らんか。
「でも私こうしてクエストする事はあまり無いのでドキドキです。にこっ」
うっ可愛い。そうだ、今この機会に聞いてみよう!
「……君の正体って実はビスマスでは無いよね?」
「ふっふっふっ実は……て全然違いますよ、体形とか髪型とか違い過ぎるじゃ無いですか! あんな脚長くなりたいですよっ」
確かに! 言われ無くともそうだったよな。この子は見事な金髪のマリとは色こそ違えど、ふわふわのカールした赤毛、直毛のビスマスとは全然違った。マリどうしてるかな?
「そうだっ君が一回来てくれたマリのアクセサリーショップあの後行った事ある? 元気にしてるかな」




