アルデリーゼの願望
「オラーーッ! ユリナスさんアンタ何和んでんだよっアンタがトンズラしたって配下の97名が騒ぎ出して俺が殺されそうなんだからな!」
いけねこっちも忘れてた。
「ジャラーごめんごめん、今から拳大の石を集めるからさ許してくれよ」
「はぁ?」
「騒ぐヤツらなぞ打ちのめせば良いのじゃ。ワシが今から全員殴り倒そうか?」
「師匠さま止めて下さい~」
ヒイラギちゃんが慌てて師匠を止める。
ーユリナスはなんとか急いで銀を配ったので御座いました。
俺達は本隊からワンテンポ遅れて帰還した……するとアルパカインゼット本国では、アルデリーゼが閉じ込められた危機を脱してドルフィンナーゼの聖女を説得し、みつぎ物を持ってこさせる確約まで得たと大変な評判になっていた、ヤレヤレ。
ー王の謁見の間
俺が帰還した事でさっそく全部隊長そろっての報告会が開かれた。
「アルデリーゼ、そなたまことナーゼの聖女を説得したと申すか?」
「はい、きゃつらは大胆にも我ら先遣部隊を城壁内に閉じ込め、武器を持って脅しにかかって来たのですが、わたくしが決然と説得しました所、素直に従う事を申し出て来ました。それもこれも大王のご威光があっての事で御座います」
アルデは目を光らせて自慢しながら言った。っておい、思い切り嘘付くなよ! お前泣きながら錯乱してただろがっ。見ろっ王様もめちゃめちゃ疑いの目で見てるぞ。
「ユリナスよ、アルデの言い分に相違ないか?」
えっ俺? 何で俺なんだよ、ロルフかカールにでも聞けよ。余談だがこういう場面にはヒイラギちゃんは出られません。
「えっと、うーん」
「どうしたユリナス、正直に言え!」
ギロッ
アルデが俺をにらむ。
「正直にですか……」
「王様、第二王子はそれはそれは見事な采配じゃったのじゃ~~」
「ほぅ?」
師匠何故!? 貴方しんどいって留守番してましたよね?
「ありがとうリリー殿、正直に言ってくれて」
コラーッアルデも師匠の嘘に乗っかるな!
「貢物を渡すと言うか?」
「はい、彼女自ら貢物を持ってこの国までやって来ると。そこで一つお願いしたき儀が御座います父上!」
お?
「何だ言うてみい」
「聖女が見事来城したアカツキには、この私アルデリーゼとの婚儀をお許し願いたく!」
シィ~ン
一瞬謁見の場が静まり返る。何だっコイツ。よりによって何言ってるんだ? 見ろよ王様も呆れているぞ。
「何故かな?」
「何故と、聖女は私にほれておりまする」
シィ~ン
究極のポジティブシンキングか……俺の頭はグルグル回った。




