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師匠の過去と黄金竜の伝説


 師匠からもらった鎧を思わず見る。あのアルフレッドの父上の王様が若い頃、今から何十年か前に兄の勇者が師匠に討たれた時からさらに500年前って、はるか昔過ぎて実感が無いよ!



「それで?」

「その頃はまだまだ人類よりも亜人やモンスターがこの大地を支配する時代であり、人間は古代フォクスサーラ王国を中心に自然の中に間借りして暮らす様な存在でした。そしてその世界で王者として君臨していたのが最強の黄金竜を中心とした八体の巨大なドラゴン達だったのです」


 で、でたっ師匠が訪れた事があるっていうフォクスサーラ王国! 俺の(しも)ヴァーグトーア領の南にあるんだよな。師匠と行きたいな~なんて。


「それから?」

「人類は巨大な力達のあいだで慎ましやかに暮らしていたのですが、やがて徐々に徐々に力を伸ばし始めてもいたのです。それが黄金竜には気にいらなかった。ある日とうとう黄金竜は次に強いと言われていた銀竜に宣言したのです」


『俺はもうこの人類というちっこい奴らが気に入らない。これを放置しているとシロアリの様にいつか俺達の王座をむしばんで取って替わられるだろう。よって今から人類を滅ぼそうと思う。銀竜も一緒にやらないか?』


『何を突然ヤブから棒に言うておるのじゃ? 人類など貧弱な者共にその様な力はないわっ! 放っておけば良いのじゃ。ワシはゴメン(こうむ)るのじゃ』

『フン、ならば良い。俺一人で実行するだけだっ!』


 バッサ~~


「あっけに取られる銀竜の前で、黄金竜は飛んで行ったのです」

「黄金竜って最強って言うかヤベー奴だな!」


「黄金竜は宣言通り人類に攻撃を始めたのですが……彼は元々持っている破壊衝動が暴走し、とうとう人類以外の亜人やモンスターや全ての生きる者達を攻撃し始めたのです」


 おいおい……


「でも俺達は生きてるぜ?」

「はい、世界が滅亡の危機に瀕した時、フォクスサーラ王が銀竜達残りの七体のドラゴンに救援を要請したのです」



 ー古代フォクスサーラ王国


『このままでは人類もエルフも妖精もモンスター達も、世界全てが滅びてしまうであろう。誰かが黄金竜を止めねばならぬ。だがもはや人間風情がどうにかなる様な問題では無い。そこで我は銀竜シルバー・リリー・ドラゴン達に助けを求めたい……』


「そうしてその願いは竜達に届いたのです」


 バッサバッサ~~


『おおっ巨大な七体の竜達が』

『我らも襲われるのでは!?』


「人々は恐れおののきましたが、王は一人竜達の前にひざまずきました」


 シュルシュル……

 

『おおっ銀竜が女性の姿に』


 師匠……

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