師匠が心配だよ……
「もう良いジイにロルフ、元は素人の冒険者だ許してやれ」
「しかし」
ふふアルデリーゼが優しい理由は分かっているぞ、全部師匠が見ているからな。師匠の前ではこいつはなるべく怒らないのだフフ。
「アルデリーゼ殿下は心が広いのじゃな~」
「いえ、上に立つ者として当然です」
師匠もアルデ転がしが上手いな!
と、最初は調子が良かったのだが……
ぴたっ
師匠の馬が度々止まりがちになった。
「どうしました師匠?」
「……行きとう無い」
え? 師匠の様子がおかしい。
「どうしたんですかリリー師匠様?」
ヒイラギちゃんも困惑してる様だ。
「怒られますから師匠、一応進みませんか」
「……嫌じゃ、ワシはしんどいのじゃー」
えっ数百年も生きてるボスドラゴンの師匠がしんどくなる事があるの? いやむしろ忘れてたけどお年寄りだからしんどくなるのか? でも突然だな。
「ごはん食べましたか?」
「めちゃめちゃ食べたのじゃーでもしんどい」
し、師匠の顔を見ると少し青ざめてる。これは仮病とは思えない。師匠、死んじゃうんじゃ? もし師匠が死んだら俺はどうなるんだ? 銀化が使えなくてたちまちルウィナ達に殺されるし、ヒイラギちゃんよりも弱くなってとたんに見捨てられる。いやいやそんな事じゃない、俺師匠がいなかったら寂しくて死んでしまうよ! どどどど、どうしよ。
「ユリナス様まで青ざめてますよ! 人には色んな時があるものです。落ち着いて下さい。師匠さまも休憩されればすぐに元気になります!」
ヒイラギちゃん落ち着いてるなあ頼りになるなあ。
「ちょっとアルデリーゼに掛け合って来る」
パカラッ
「~という訳で師匠が休憩したいと」
「タワケがっ!! 先程まで遅れて来て今度は休憩ですと? 我らを舐めておるのか!」
「さすがに第三王子のご友人とてもう許せませんな」
言うと思った!
「それは本当かね?」
「本当だよ、師匠がしんどいから行きたく無いと」
「よし、許そう!」
俺はコケたけど安心した。アルデは逆走して師匠のもとに駆け付けた。
「リリーサマー殿、ご体調は大丈夫ですかな? 私も貴方の事が心配でなりませんが、王命で急がねばなりません」
「ワシは行きとう無いのじゃー領地に戻って良いじゃろうか?」
「フフ、どうぞごゆるりとお休み下さい」
お前優しいな!
「殿下は優しいのぅ」
師匠とシンクロした。
「では私も師匠さまのお相手をしてお待ちします!」
「えっ良いのかい?」
「はい!」
彼女は兄の事が気掛かりのハズなのに。本当に助かるよ……




