初実践! 闇ギルド依頼
「分かったよ、俺もう窓口お姉さんになら騙されても良いよ。その闇ギルドとやらに入るよ」
「ほにゃナスさんに信じてもらえて嬉しいです。それではコレを」
ズイッ
お姉さんはなにやらそっと金のメダルをくれた。何々【闇のギルド裏稼業人】ってそのまんま書いてる。うわぁ凄くダサい。これお姉さんが個人で作ったグッズなんじゃ?
「う、ありがとう大切に持って置くよ。それでどんな依頼が?」
「そうですねえ、大きい物だと悪徳政治家の暗殺とか悪の国家の転覆とかありますけど、小さい物では浮気された旦那さんへの報復とか」
スケールの落差が怖い! しかし完全に闇の依頼だなこりゃ。悪の臭いがプンプンするよ……まてよ、このお姉さんっていつもいつも俺の事見守ってくれてて、いろんな手助けやアドバイスをくれる、この闇の感覚どっかで……あれ、何だっけ?
ビスマス!! ゲゲッよく考えたらこの窓口お姉さんとビスマスって共通性ありまくりだ。彼女の正体ってこのお姉さんなのか? そう思ったら何か涙が出て来た。
「う、ううっ」
「ど、どうしたんですか!? 急に目に涙をにじませて、凄く不気味ですよ!」
うっいけね、お姉さんはビスマスの正体を隠してるんだ。
「な、何でも無いよっ目に埃が入っちゃった!」
ゴシゴシ
俺は目をこすった。探し求めていたビスマスの中身がここに。けっこう可愛くて良かったふふ。
「ん? ではとりあえず城内武器屋の旦那さんの浮気に激怒した奥さんの報復の手助けなんてどうです?」
報復、ぶっそうだなあ。
「どの程度の報復するの?」
「そうですねえ、奥さんの依頼だと怪我させたら可哀そうって事で、脅す程度で良いんじゃ無いですかあ」
小学生みたいな依頼だな!
「やってみるよ」
「はい、初仕事ですね!」
ーその日の深夜、俺は部屋を抜け出した。
お姉さんの事前情報通り、武器屋の親父は道具屋のお姉さんの部屋から帰って来た。コンパクトにまとまった浮気だなあ。
「武器屋の親父さんですね?」
後ろから声を掛けると旦那さんはビクッとする。
「深夜は城内移動禁止ですよ?」
「何だ貴様城兵じゃねえな?」
「あんたにナマクラつかまされた客からの抗議でなあ」
俺はドスの効いた声を出した。と、直後に親父はいきなり剣を抜いた。
「な、何だよてめえあからさまに怪しいだろ!」
シャリンッガチーン!
いきなり斬りつけた親父の剣が、俺のほっかむりの頭に当たって簡単に折れた……
お読み頂きありがとうございます。
また最初から通して読んで下さっている方がいらっしゃればとても嬉しいです。
今回いつもの様にまた道草話みたいになってしまっているのですが、メインのルウィナ達は確実に最終的に討ちますので、是非お読み頂ければ幸いです。
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