監視兵対策くん1号
「ビスマス様を相当信用なさっているんですね!」
「いや、この力を得た時に最初に色々教えてくれたから……」
「そうなのですか」
やばい、このままだとヒイラギちゃんと話し込んでしまいそうだ。
「もうお休み、お兄さんの事は俺がなんとかするから!」
カッコ良過ぎるだろ、俺。
「はい! 御主人様の事を信用しております……」
「ご主人様は止めてっ!」
等と言いつつ、俺たちは分かれているそれぞれの個室部分で眠りに入った。
ー次の日、王様処かアルフレッドからも何の連絡も無かった。
ーさらに次の日、そして次の日……という感じで四日経ってしまった。
「うおーーー? もう早速俺たちの事忘れ去られてるんじゃ? こんな感じで数か月とか数年とか放置されるんじゃないだろうな!?」
俺たちはトランプをしながら時間を潰していたが、発狂仕掛けた俺は頭を抱えて叫んだ。
「私はこうしてユリナス様と過ごすのはとても楽しいです! 兄の事は心配ですが……」
「ワシは数百年も巣穴におったからのぅ? これしきどうって事無いのじゃ」
師匠の尺度で考えてたら死んでしまうよ!!
コンコン!
「どうぞ」
ガチャッ
「お紅茶の替えで御座います」
澄ました顔でメイド服を着た女性兵士が監視の為に入って来る。もう慣れっこだけど、監視兵達は男女関係無く親しく成り過ぎない様に小刻みに交代している。今のところ同じ人員が回って来た事が無い。この子もすぐに他の子と交代して名前も覚えられないんだろうな!
ガチャリッ
おためごかしの用事を済ますと静かに出て行った。
「しかし監視するなら王様何か命令してよ!? 放置しないで欲しいよ。ていうか窓からも監視してるし、これじゃ飛んでもいけない抜け出す事も出来ないよ! 俺が二人居ればなあ……」
俺は頭の後ろ手に組んでのけ反った。
「ユリナスの代わりならいるのじゃー」
「え、ユリナス様の代わりですか?」
「そんなの居たら怖いでしょ」
「これじゃ!」
師匠はおもむろに人形を取り出した。
「こ、これはっ最初の方で忘れ去られていた俺型の推しぬい!?」
「まあ可愛いです!」
「これにワシが魔法を掛けると」
ミヨンミヨンミヨン……
「うおーーっ!? 押しぬいがどんどん巨大化して行って!?」
なんと俺そっくりの等身大人形に変化した。
「ワシの人化魔法の応用じゃ。生きてはおらんが自動で胸が上下するぞ!」
「でもカキーンと瞳孔開いてるし!」
「瞳を見てると地獄に吸い込まれそうです!」
「地獄て」
しかしこれがあれば抜け出す事が出来そうだっ!




