降臨、兄二号
「それが最近謎の部隊に襲撃されまして。幸い死傷者は出なかったから良かったのですが、一体どこの国の部隊やら……」
ちょっと攻め過ぎかも知れないけど、俺は控室で小さくなっているヒイラギちゃんの為にも銀竜村の被害の事を打ち明けてみた。
「ほぅ、それも興味深いな。恐らくは隣国のゼブランドの部隊であろうが……はてさてどうしてそんな事になったのやら」
とぼける気か。
「いやそれが直接ゼブランド王に聞いたのですが、その様な事には全く関与していないと。王が嘘を付くとは思えません」
「それはそれは君はゼブランド王にも会える立場なのかね? 先程は見くびった様な発言をして悪かったね。恐らく犯人は南部諸国の蛮族共かも知れないね。それはそうと、君はナスビィーという空を飛ぶ者を知らないかね? あっちこっちで悪さをしている人物なのだが……どうも銀竜村と縁が深いかも知れぬのだ」
「いえ? ナスビィー殿ですか、とんと知りませんね。そうそう空を飛ぶ者と言えばビスマスという女性が居るとか、彼女もあちこちでイタズラを繰り返す悪女だとか、お気を付け下さい」
バチバチッ
俺とアルデリーゼの間に火花が散った。
「そうか……君はビスマスの存在も知っているのだね? 父上との謁見が済めば君とはまたじっくりと深い話がしたい物だははは」
「そうですか? お忙しい第二王子殿下でしょうからご遠慮しますよ?」
「いやいやそう言わずねふふふ」
今度は俺達は不気味に笑い合った。
くいくいっ
アルフレッドが肘でつ突いて来る。
「君は兄上と知り合いなのかい?」
「違うよっ知らないよっマリの店で偶然会っただけさっ。それより物申すんじゃ無かったのかよ?」
「シッ余計な事言うなよ!?」
何故か俺とアルフレッドがモメてしまう。本当なら殴りかかってアジサイ君の居場所を問い質したいが……ビスマスはどうなっているのか、彼女の続報を待つしか無い。俺はじっと余裕で立つアルデリーゼを睨んだ。
「よぉーっ! アルフレッドじゃねーかっ今度こそ強くなったかっ!!」
どバシィッ!
突然金髪の短髪の不良のニーチャンがアルフレッドの背中を叩いて、彼が1ミュートロほど吹っ飛ぶ。
「あ、兄上!? アルパダ兄上? ダンジョンに冒険に出掛けているんじゃ」
アルパダ兄上、つまりアルデリーゼの兄ちゃんって事か? アルデの奴も静かに頭を下げてるからさすが長男って事か? でも部下の騎士達を引き連れてはいるが、見た目普通の不良のニーチャンにしか見えん。威厳と言う奴が……想像してたのと違う。しかもアルパダって、名前付ける時に絶対頭の片隅にアルパカの事残ってただろ?




