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踊り銀化


「そ、そうだっここに来るまでどんな旅をして来たの!?」


 ふふっきっと鎧の人の大活躍によって、旅をして来た経緯を話してくれるぞ~。


「ここまで……? う~ん、ゼブランドの西の砦で捕まってしまってね。酷い目にあったよ」

「なんだってぇ! それは大変だったねぇ」

「マジかっ!? それでそれで??」


 俺は知っていたけど大袈裟に驚いた。さぁ次は鎧の人の話題だっ。


「そんな感じ」

「うん」


 俺はコケた。鎧の男は? 鎧の人の活躍はどうなった?? 仕方無い無理やり話題を引き出そう。


「へぇーなんか素晴らしい出会いとか無かったかな?」

「出会い……? 出会いねえ」


 等とアルフレッドが頭を巡らしている時であった。



 コンコン、ガチャッ

 ノックする音がして、許可して無いのにドアが開いた。そこから不気味に笑う顔の数人のゴブリンが身を乗り出した……何だよ!


「コラッお前達何なんだぃ?」

「へへへユリナス様お約束していた、お給金の支払いを是非に」

「こらっ領主様はお客さまを接待中だぞ!」

「うるさいなカッコつけるなゴブリュンさん!」


 同じく顔を出したゴブリュンさんと内輪もめしてるじゃないか。


「後でちゃんと払うからちょっと待ってよ!?」


 思わず叫ぶ俺の肩をアルフレッドが掴んだ。


「いや、給料はとても大切だよ。今から行って払ってやるが良いよ! 僕達は君が居なくてもぜんぜん気にしないから」

「うん大丈夫よ!」 「ユリナス行ってあげて」


 気にしろよ! 俺に会いに来たんじゃ無いの!?


「あっじゃあさ、ユリナスがゴブリンの相手してる間にアンタ達は銀竜村温泉に入ればいいよ」


 それを聞いてアルフレッドはハッとした顔になる。


「クヌアーさんそれ……混浴ですか?」


 ガタッ

 俺もクヌアーもコケた。


「混浴じゃ無いよぉ、でも混浴が良ければアタシが一緒に入ってあげようかぃ?」

「……お願いし」


 言い掛けたアルフレッドの口をシャリィが押さえた。どんどん本性が出て来るな。


「冗談です! ちゃんと普通に入りますから!」

「はいはい、せっかくだからお風呂もらいましょう! ユリナス、ゴブリンさんに行ってあげて」

「ありがとうレミラン」



 でも温泉話題のお陰でなんとなく一行の表情が和らいだ気がするよ。そのまま身も心もほぐしておくれ。俺は後ろ髪引かれる想いで温泉に行く一行と別れると、ゴブリン達が持って来る石に給料代わりに銀化しまくった。当然谷底の温泉から離れた場所で気付かれない様に注意しつつ銀化を続けた……けど量が多い! クヌアー居ないからって、どさくさ紛れに何人か5回以上来てるヤツがいるだろ!?


「おりゃおりゃおりゃ銀化銀化銀化!」


 シャキシャキシャキッ! 踊り食いならぬ踊り銀化だっ!!

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