行けっ!
でも師匠と彼女のブルー・ネモフィラー・ドラゴンがもし大バトルでも始めたら……それよりかマシか?
「あっ逃げたではないか! あいつ青色しておったのじゃーまさか」
「違うっ目の錯覚だよ! それよりも師匠っっ」
ぎゅむっ
俺は師匠が彼女を追い掛けない様に強く抱き締めた。うっ師匠の大きな胸圧が俺の胸に!?
「こ、これユリナス照れるのじゃ~そんなに強く抱き締めるなフフ」
まんざらでも無い師匠は、即ビスマスの事を忘れてくれた。
「何だと!? まさか本当にあの銀色の小僧は加護持ちの最終奥義である、【主竜召還】を使いこなしておるのか!? 信じられん……」
ビスマスが逃げた事にも気付かない程、緑の爺さんヴェルディグリは動揺していた。しかし彼が言う様な主竜召還などでは無く、ビスマスの時同様に主竜の方から眷属の事を心配して飛んで来ただけであった。
だがヴェルディグリと主人竜グリーン・スパークリン・ドラゴンの間にその様な関係性は無く、彼は全く状況が理解出来ないでいた。
「主竜をあの様な自分好みの若い娘に変化させて、遣い魔にしておるのか!? なんという無礼な」
ヴェルディグリは実は真面目な大魔導士なので、各主竜には敬意が深かった。だから余計にユリナスと師匠銀竜リリィーの関係性が理解出来ない。
「おいそこの緑色のジジイ、こっちに来るのじゃ!」
どビクッ!
突然声を掛けられてヴェルディグリは背中が飛び上がった。
「は、はい!?」
えーっあんな奴ほっておこうよ。緑の爺さん来ちゃったよ。
「貴様はスパークリンドラゴンの眷属かや?」
「は、はいその通りに御座います!」
うはっ爺さんが緊張した学生さんの様になってしまった。
「奴は元気にやっておるのだな?」
「は、はいそれはもう」
「うむ、ならば良い、今日はもう帰って良いぞ」
「は?」
「早う帰れ!」
「は、はい!!」
冷や汗をポタポタ流していた爺さんは、言われるままに飛んで行った。気持ち良い~これで一件落着!?
ドシューーッ
「師匠、緑スパークリン竜を知ってるの?」
「全然知らん」
俺は空中でコケた。
「師匠、これからどうするの?」
「帰るに決まっておるのじゃ! マリの奴が買い物から帰ってこんでのぅ」
「うーん、それは心配だね帰って待っててあげて」
「うむ」
シュインッ
あっ師匠は一瞬で消えた。と、すると俺は……
シューッシュタッ!
サラサラ
『では出発するぞ』
何事も無かった様に地上に降りた俺がレミランから受け取ったスケッチブックに書くと、アルフレッド達は一斉にコケた。
ドターッ




