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蒼鉛竜のビスマス 謎な気持ち


「じゃっでは無い。貴様の素性やどうして銀竜の加護を持つのかを教えてもらおう!」


 え、単なるクエスト依頼内容聞いただけで、そこまで個人情報教えるのって話釣り合わないと思う。それに仲間に追放されて死んだら、シルバー・リリー・ドラゴンに同情されただけとかカッコ悪過ぎだよ。


「……それは言えぬな。我と銀竜の出会い、そして我が戦う真の目的……それを明かした時、その相手は死ぬ」


 いや死なない死なない、俺は心の中でブンブン手を振った。真の目的とか特にねーしな。


「ふっそれはお互い同じか」


 おおっ適当に話盛ったらなんか通じたぞ。



「そんで、こいつらどうすんの?」

「それは素顔を見られたお前が考えろ。差し当たって城に矢文でも放って牢にでも入れる様頼めハハハ」


 うっ見られたって……もしかして俺の素顔見られたの心配してくれてんの? でも銀ピカ過ぎて心配する程でも無いと思うけどね。


「そうか、それは有難いね。俺は銀竜の加護を持つ……えっとナスビィーだ」


 ごめん、いまいちちょっと信用出来ないんで偽名。


「ナスビィーか、可愛い名だなククク。ならば我は蒼鉛竜、ブルー・ネモフィラー・ドラゴンの加護を持つビスマスだ。またどこかで相まみえる事もあるだろうな、フフ」


 蒼鉛竜のビスマス、偽名かな。

 ドシューーッ!!

 え、ドシューて?

 ぱっと見ると、目の前の彼女は脚から何かをふき出して上昇を始めていた。


「えっ飛べんのーーっ??」

「当たり前だっまた会おう!! ハハハハハ」


 良く笑う奴だな、けど何故か惹かれる。俺ははっきりと顔も見えない正体不明な彼女に異性として好意を持ってしまった。いや顔が見えないからイメージが膨らむのかな。可愛かったら良いな。そんな事を考える間に彼女は見え無くなってしまった。


「こんな気持ち初めてだよ」


 何となく彼女が消えた明けの空を眺め続けてしまう。



 とか言ってる暇は無い! 敵が消えた以上、お姫様達が心配だっ。俺は大急ぎで来た時とは逆に穴に飛び込むと、地下洞窟を進んで秘密の小部屋に戻った。


「うっゴロ、まだ気絶して」


 横たわる男を見て、俺は一瞬回復魔法を掛け様として迷った。いやダメだっ、今は一人で心細いからクヌアーは従順だけど、男の手下が復活した途端に悪に豹変するかも? 俺はかざした手を背けた。ごめん。


 ガガガ

 秘密の小部屋の秘密の通路を開けた。そこから消えたお姫さん達を追い掛けた。

 ザッザザッザ



「やべっ居ない。当然かー」


 俺はもしや出口で待ってくれてるかもと淡い期待があったが、二人は影も形も無い。そりゃ敵兵がうじゃうじゃいると伝えた訳だし、一刻も早く離れるよな。


「もう朝焼け……見えない事もないな」


 俺はある考えが浮かぶ。むやみに走って追い掛けるより、さっきのビスマスみたいに空を飛んで探した方が絶対効率良いだろう。


「飛べるかな~」


 俺は足裏から何か放出するイメージを必死に浮かべた……

 キィンキィン

 足裏に例の魔法陣が回転して現れて来た。

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