初めての攻撃
シュバッ!
青い女が一人で敵兵をビシバシ叩いてくれてるのを良い事に、俺はビシッとカッコ良く片腕を上げた。
「ふぅ~」
先程彼女がやっていた様に、小さい魔法陣が無数に湧いて出るパターンを脳内にイメージする。
キィーン、シュルシュルシュル
はやっおおっ出た!? 俺の腕の先には回転する魔法陣がいくつも輝き出した。後はここから無数の光の矢が湧き出れば……行くぞっ
「ライトニング、スプラーーーッシュ!!」
シャキシャキシャキ……
雷にも波にも全く関係無いが、俺的になんとかカッコ良い言葉をひねり出して叫ぶと、本当に光の矢が無数に飛び出した。
シュバババババババドドドドドドォーーーーーンッ!!
ズバーーーーン!
「え?」
想像以上に出た。もしかして、さっきの彼女より大量の光の矢攻撃が出たかも知れない。
「ぐはーーっ!」 「ぎゃーーっ」 「うおーー!!」
似た様な叫び声を上げて、40人程の敵兵が一気に吹っ飛んだ……マジかよ、人生初攻撃魔法でびっくりなんだけど気持ち良い。こりゃ地味な回復師とは住む世界が違うな。
「バカかっ! やり過ぎだっ!!」
その青い女がマスクで見えないけど多分血相を変えて走って来た。
「アンタだってやってたじゃないかーちぇー」
「見ろ敵兵が逃げ始めた! こうならない様に調整しながら戦ってたんだっ!! 姿を見られた以上全員逃すな、お前も戦えっ」
え、何故か急に部下扱いされてるよ……でも仕方なしに逃げ始めた敵兵を叩く事にした。
「わーーっこんな奴らかなわねえ、逃げろっ」
ドビシッ!
武器を投げ捨てて背中を向けた逃亡兵達を容赦無く攻撃する青い女。
バタッ
酷いな、でもやるしか無い。
「ひぃいいっ」
「恨みは無いが気絶してもらうっ!」
ガシッ!
俺も逃げ回る兵士達を倒しまくった。あんまり気持ちの良い物でも無かったが……
パンパン
俺は一回やってみたかった、勝った後にてのひらを叩くポーズをやってやった。
「ふぅ口ほどにも無いやつらめ」
特に会話はしていないが、目の前には約100名程の気絶したり大怪我した兵士達が転がっている。とにかく全員死んでは無いよな?
「で、何のつもりだ銀竜の加護の持ち主よ」
「ふっ、ただ姫を守っただけさ。でも俺の方こそ聞きたいね、アンタ最初こいつらの仲間だったんじゃ?」
一瞬間が空く。
「違う、単なる契約上の雇用主で単に荷物を運ぶ護衛のハズだった。所が契約違反の姫の誘拐が発覚したから制裁してやった、それだけだ」
うっ案外結構いっぱいしゃべってくれた。でも姫をさらった側では無かった訳だ。何故かちょっと安心。
「ほほう? じゃこれでっ!」
俺は片手をあげた。




