後ろ髪を……
うっこれじゃあ今と条件が同じ!? いやそれ以上か……誘惑に弱過ぎるかな。
「お茶をお注ぎします」
「うむ、ありがとう」
気が利くな美少女メイドさんよ。
とぽとぽ……
「どうでしょうかな? 絆を固める為にナスビィー殿と我が娘のエルヤとの婚儀などは如何でしょうか!?」
ドキッ
今度はエディファニーと同じパターンだよ。っていうか俺ファニーの事を忘れていたよ。
彼女は自分勝手で良く性格が分からない部分もあるけど、バスタオル巻いてたとは言えもう二回も混浴した仲。そんな彼女を裏切るなんて最低野郎じゃない? この話を聞いてはダメだよ。
「それ以上は止めて頂こう。実はユリナスも我も心に決めた相手がいる状態、その姫のお話を聞く訳にも会う訳にも行きません」
どビシッ!
俺はカッコ良く掌を出した。
「ハハハ、何もそんな四角四面に考えなくとも。妻が一人で無ければならないという法律はどこにもありませんぞ。国主なら二人目三人目と好きなだけめとれば良いのです」
ガーーン!
そうか国主という事は俺が法律って事。何でもしたい放題じゃん!? ごきゅり……いやでもこの王様の娘ってそんな美人では無いだろう。やはり会ってはダメだよ。
「いやいや、その様な甲斐性は我にはありません!!」
「まあまあ我ながら、我が娘はなかなか美形ですぞ」
「いやっ会う訳には行かぬ。そろそろ帰っ」
「会うも何も先程から目の前に居るではないですか、エルヤここに来なさい」
王様が呼ぶと、先程からお茶を入れてくれてた美少女メイドさんが恥ずかしがりながら近寄って来た。
「お初にお目に掛かります。王女のエルヤと申します」
ぺこりっぽっ
頭を下げると頬を真っ赤にって……え、この王様からこの美少女が!? 奥さんが若くて美人って事か、世の中理不尽過ぎるよ。
「エルヤは最近噂のナスビィー殿に憧れて、一度お話したいとしきりに言っておってな」
「やや、やめて下さいお父様っ」
頬を激赤面にって、可愛すぎる……ダメ、この子の事をこれ以上知ってはいけない。
ガタッ
俺は席を立った。
「いや短い間だが有意義な話が出来た。エルヤ姫もお健やかでいずれ立派な貴公子と結ばれて下さい。では、これにて!」
シュンッ
うっエルヤちゃんが急激に暗い顔に!? 心が痛むよ。
しかし決まった! 何と言うカッコ良い姿。マリにファニー見てますか? 俺今凄く立派に行動してますよ!
「あぁナスビィー殿!?」
俺はダンジョンのゴースト達から背中を引かれる様な思いで、城から飛び出した。
スタタッ




