王様ぁー
ーカピパラライン城
ファニーのバルコニーから入った俺は、早速王様に報告する機会を得た。
「王様、急報で御座います!」
「うむ、要件を申せ」
「ハハッ」
俺はゴブリィの言葉通り詳しく話した。
「~というカクカクシカジカで銀竜村に侵略に来た捕虜約200人の処遇をお願いしたく!」
くふふ、以前ゼブランド砦で敵兵の捕虜交渉をした事があるからな、例えアルパカインゼットだろうがゼブランドだろうが、この俺の外交交渉の冴を見せてやるぜっ。
「ふむっよし今すぐ全員解放じゃっ!」
どビシィッ!
王様はこれ以上無いくらいに立派にあらぬ方向に指を指した。
「そうそう、今すぐ全員解放してお帰り頂いて……って何ぃいいい!?」
ガタッ!
跪いていた俺は立ち上がって叫んだ。
「どうしたのですか、王様の御前です無礼ですぞ!」
王様を守る騎士達ににらまれ注意されてしまう。仕方なく床に足を置き直す。けれどそんなのおかしいでしょ!?
「ですが王様、これは外国からの明確な侵略です! 前後関係を吐かせてしかるべき抗議や必要ならば報復攻撃をしなければ、今後どんな災厄を呼び込むか分かりませんぞ!」
俺はいっぱしの騎士並みに抗議してやった。
シィーン
しばしの沈黙が流れる。
「無礼であるぞ! 貴様何様かっまだただの騎士見習いではないかっまだまだ騎士叙任スタンプカードも満期に出来ぬヒヨッコがっ! 我にも深い考えがある。もし謎の軍隊がアルパカ軍であった場合、恐ろしいではないか! ここは無かった事にしてみて見ぬフリをするのが最善の策なのじゃ!!」
シィーン
ど、どどどんな事なかれ主義だよ!? 王様が恐ろしいとか正直に言い出すなよ。スタンプカードなんか1500個も満期に出来る訳無いだろ。
「分かりました、私にも考えがあります。この国を守る為に独自に調査します故!」
スクッ
俺は立ち上がった。
「待てい! 貴様今から銀竜村に飛ぶつもりならまかりならんぞ。もしこの三日の間に銀色になって空を飛ぶ姿を目撃されたら、エディファニーとの婚約は破棄じゃ! それだけでは無いぞ、そなたはこの国から追放、部屋を借りておるマリの商売も禁止で、館も国家反逆罪で破却する事になる」
ひ、ひどっ! この王様こんな人だったっけ? くそー変身も禁止ってじゃあどうやって。
「じゃあどうやって、銀竜村に捕虜の処遇を伝えたら良いのですか!?」
俺は思わず叫んでいた。
「捕虜の解放ならもう使いを送り出した」
「い、いつ!?」
「最初に指を指した時に、既に使者が銀竜村に向かって早馬を出したわ!」
は、早っ! こんな時だけ仕事が早い。
「しかしそれでは、不安を感じている村民達の立場は!?」




