遭遇……
「是非その探索に我らも同行させて下さい!」
「お願いします!!」
「いやお気持ちは有難いが、銀竜の洞窟には中ボスクラスのモンスターがうじゃうじゅ居るのだ。そなたらの影縫いや隠れ身の術程度では決して付いて来れぬぞ!?」
いや本当は師匠のボス部屋に通じる抜け穴があるんだけど、まさか今日会ったばかりのこいつらに教える訳にも行かないし。つまり足手まといなんだよな。
「では残り10万エピはその修行代としてお渡しした事にして、帳消しでいかがでしょうか?」
いやそれじゃ俺が尽きぬ銀貨を取りに行く理由自体無くなるじゃん!
「お願いします!」 「お願いします!」
うっ二人シンクロしてお願いされても……困ったなあ。
「きゅうう~~~」
「きゃーーっ!?」
「外から飛竜が覗いているわ!?」
「よし討伐してやるぞっ」
いけね、ソラが暇を持て余してギルドにまで来てるよ。
ガタッ
「お静まりを、あの飛竜はFランク回復師のユリナス様の飛竜です!」
窓口お姉さん……一部引っ掛かるけど有難うって何でそれ知ってるの!? 不思議だけど仕方なくお姉さんにお礼をするとギルドを出た。思わずソラの顔を見る……
「きゅ~~~」
「いや待てよ、師匠の加護を持つ俺なら銀竜の洞窟でも敵が襲ってこないかもな、ブツブツ……」
「あのどうされましたか?」
ソラとヒイラギ兄の両方が俺に問い掛けて来る。
「うむ、では命懸けで銀竜の洞窟に行ってみるかな?」
「ハイ!」
「行きます!」
「うむならば話は早い、このソラの背中に乗るのだ。多少竜酔いするかも知れんがな?」
「大丈夫です!」
「がんばります!!」
ー2時間後
俺達は銀竜の洞窟に着いた。
ザッザザッザ
「ここは第一層から強力なモンスターがいる故、気を抜くなよ!」
「はい!」
スーーッ
だがモンスターは俺達を襲う事は無く素通りして行く。師匠が旅立つ時に俺が横に居た事を覚えていてくれた様だ。
「どうやらモンスター達は襲っては来ぬ様だ」
「何故ですか!?」
「企業秘密です」
「凄いです……」
「よし、ならば一気に走ってボス部屋まで行くぞ!」
「どれ程掛かりましょうか?」
「通常の速さで5時間程か」
「大丈夫です!!」
こうして俺達三人はモンスター達が素通りしまくるダンジョン内を、ひたすらランニングし続けた。
はっはっスタスタ
ガガガガガ……
ボス部屋の大きな扉が開いた。約一年とちょっと前にこの扉を潜って死んだ場所だ。感慨深いよ。
「待っておったぞぃ……」




