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獲るしかない!


「ちょ、ちょっと花屋さんに行ってくるよ!」

「はぃ?」

「はい、良く分かりませんがお供します!」

「もぅ勝手にしてよ」


 俺は取りあえず40万エピを先に渡しギルドを飛び出して師匠の花屋に向かうと、もれなく二人も付いて来た。もちろん残りの10万を取り返す為って雰囲気では無く、なんか興味があって付いて来た感じだ。



 ー師匠の花屋


「花を買う奴は一列に並ぶのじゃ! 並ばない奴は即出禁じゃからなっ」


 うっ凄い数の男性客が……全部師匠目当てか? いかん放置している間に師匠の美貌が沢山の男共に知れ渡ってしまった。これも何とかしなきゃ……でも今は急いでいる。


「師匠~~ちょっと助けてよ~~~」


 もうキャラ作りは疲れて来たんでこれでいいや。


「急に何じゃユリナス? うむだが仕方があるまい、お前ら今日は終わりじゃ! シッシッ全員散れ散れっっ!!」


 ぴっぴっ

 さすが師匠、常に俺優先で生きてくれてるよ!


「エエ~~今来たばかりなのに」

「リリーさんまた来ます……」


 ゾロゾロ

 師匠が犬を追い払う様に手を振って乱暴に客達を退散させてくれた。



「いいのあんな事して?」

「店主よ、別に良いじゃろ?」

「良い良い。客など掃いて捨てる程おるからのぅ」


 本当かよ? どんな店だよ……この店主、師匠を雇う為なら何でも良いのかよ? この店主も怪しいな。


「お主の為じゃ、どんな犠牲もいとわぬぞ」


 でも師匠ありがとう……


「それよか師匠【尽きぬ銀貨】ってまだ残りって持ってるの!?」

「何じゃ唐突じゃのう。何故今日は仮面を着けたままで、何で後ろに無言の二人を連れて来ておる? あれらは誰じゃ?」


 師匠は猫の様に店の影からじっとこちらを見てる兄妹に指を指した。


「実はあの二人にダンジョンで借りを作ってしまって、すぐに10万エピを返さないといけないんですよ。それに仮面を外すとイメージが壊れちゃうから着けたままなんです」


「訳が分からんが大体納得したのじゃ! 尽きぬ銀貨のぅ……うーん旅立つ時に全部まいてしまったと思うんじゃがのぅ、一応荷物を探しておいてやるか」


 うっ師匠の手元にも無かったか、ならばとるべき手は一つ!


「師匠ごめん、ちょっと俺急いでいるんだっ」


 シュバッ!

 俺は頭を下げると店を後にした。やはりもれなく二人が付いて来る。


「何じゃあ奴……仕方が無い。客共戻って良いぞ!」

「ヤッター!」

「わいわい」


 遠巻きに見ていた男性客達がプライド無く戻って来た……



 ー冒険者ギルドに戻った。


「ナスビィーさんあの方は?」

「あの御方こそ我が師匠よ」

「貴方の師匠……」

「我はこれより銀竜の洞窟に飛び尽きぬ銀貨を探して来る。残り10万エピはまた後日の返却で良いであろうか?」


 シュバッ

 俺の問いに何故か二人は即土下座した。え何で? 貴方達が貸してる方なんですよ。

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