醜い?
すたすたすた……
何ぃい? こいつら運が悪いんだか良いんだか、いきなり一発で1/10黄金のゴーレム像が出ただと!?
「わぁ凄いさっきまで戦っていたゴーレムとそっくりだよっ!」
「どうなってるんだろうなコレ」
カチャカチャッ
無邪気な子供の様に遊ぶ音が聞こえてるけど……行っちゃうよ? 命の恩人さんが行ってしまうよ~~?
すた……
「よし、早速これをギルドに持って行って売っ払おう!」
「その前に一日ほどお部屋に飾りたいよ」
すたすたすた……ぴたっ
ほら! 歩みを止めましたよ。背中から俺の無言のオーラを感じ取るのだ!! 『どうぞ、ゴーレムをご覧になりますか?』的な事を言えっ。
「シッ」
「あの方の邪魔になってはいけないよ、あの方が去るまで静かに待とう!」
俺は心の中でコケた。
シィーーン
背中を向けたままボス部屋の出口で待つ俺、そして無言になって俺が去るのを待つ二人は妙な三すくみ状態になってしまう。
じーっ
背中に二人の視線を感じる。恥ずかしい恥ずかし過ぎる……だが俺はもう欲望が我慢出来ない! ここは恥を忍んで正直に言うしか無いだろう。
くるり
俺はなるべくかっこ良く振り向いた。
「んーコホン、ほほぅ? 今小耳に黄金のゴーレム像という言葉が聞こえた。ウムどうであろうか、後学の為に少し我にも見せて頂けないだろうか?」
ポカーン
二人は口をあんぐりと開けて俺の目を見ている。そ、そんな意外な事言ったっけ!? 誰でもレアアイテムの1/10ゴーレム像出たら見たくなるよね!?
「……」 「……」
「い、いやっ今のは忘れてくれ! 今のは気の迷い。達人の我が他人のアイテムなぞ興味がある訳」
「いえいえいえいえいえ、どうぞっどうぞご覧下さい!」
しゅばっと一転して二人は腰を低くして手を差し出してくれる。
「これは貴方様がドロップしたも同然、是非ご覧をっ」
「いーやっ他人のアイテムなぞ見たいとは」
「いえいえいえご覧をっ」
このやり取りはしばらく続いた。
「んでは、少しばかりご厚意に甘えようかな?」
こうしてカッコ悪い俺は心の広い二人から黄金のゴーレム像を受け渡された。
カチャッズシッッ!!
手に持った瞬間に純金製のゴーレム像のヒンヤリとした感覚が俺の手に伝わる。
「うおおおおおお、何という重量感そして精巧な作り、まさに先程まで人間を襲っていたボスの息遣いが伝わって来る様だ!? しかも首手足の各関節が完全可動!! どの様な仕組みになっているのだっ。これは魔物生物学的には鯛の鯛的な物なのか、まるで今にも動き出しそうな生命の息吹を感じるよ……欲しい、欲し過……あ」




