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全身銀化


「ならば小部屋からの他の隠し出口を知っておるぞ」

「え、何で?」

「……所要により監視付きでそこから出る事があったのだ」

「所要って?」


 お姫さんはもじもじしている。しかし確証が必要だっ!!


「……ソナタはバカかっ所要とはお花を摘みにだっ」


 何故赤面?


「お花? 何故お花を摘みに??」


 ドバシッ!!

 縄で縛られた状態で飛び蹴りを喰らう。可哀そうなので縄を解き、小部屋に戻る。

 スタタッ



 最悪だ……隠し小部屋に戻ると、既に手下1号2号が立ちはだかっていた。


「おいナスビィー、まさかお前が裏切るとはな?」

「お姫様誘拐をお前だけの手柄にしようってか?」


 違うって!!


「そんな訳無いでしょ!! 外国の兵隊はアンタ達まで口封じで殺す気だよ、お姫さんだけ奪ってね!」

「はあ?」

「騙されねーぞっ!」


 ジャラッ! チャキッ!

 手下1号2号は短剣を抜いた。自動的に俺も高そうな剣を抜く……けど戦うつもりは無い。


「お、おいソナタ大丈夫か」


 お姫さんは俺の後ろに隠れる。


「俺を信じて仲間にしてくれたアンタ達を斬りたくないんだっ!」


 とか言いつつ、斬りあいになったら負けるだろうし。


「自己紹介がまだだったな、俺はゴロで」

「俺はツキーだっ! 死ぬ前に覚えとけっ」


 言いながらゴロとツキーは短剣で斬り掛かって来た。

 チャキッ!

 人一人が通れるくらいの狭さで、俺はなんとか一瞬だけ二人の攻撃を交わす事が出来たが、絶対に長続きはしないだろう。もう仕方が無かった……



「お姫さん、俺は今から銀の銅像になる! それで動けなくなって、この通路を塞ぐからその隙に何とか一人で逃げてくれ!!」


 ビシィッ!!


「ハ!?」 「?」 「!?」


 聞いていた三人が三人とも口がポカーンとなる。そりゃそうだよな、俺も他人なら意味が分からんと思うわ。


「ソナタ……とうとう頭が……」

「良いから言う通りにしてくれっ俺は喋れず、動く事も出来なくなるんだっ! 頼むぞっ」


 とにかく必死に訴えた。


「良く分からんが、ソナタを見捨てて逃げれば良いのでろう?」

「良い子だっ!」


 あっさり見捨てて行くと宣言するお姫さん。


「さっきから何言ってやがる?」

「死ねーっ!」


 あっけに取られていたゴロとツキーが再び襲い掛かる。俺は少し下がり通路を塞ぐ様に体を大の字にして、片手を胸に当てつつ叫んだ。


「ユリナス、全身銀化!!」


 シャキシャキシャキ……

 身体の先から銀の像になって行く。きっと敵兵達にちょっとづつ削られて売られちゃうんだろうな~等と考えると悲しかった。


「早く逃げろっ!!」


 俺は最後に残った口でお姫様に叫んだ。

 チャキッ

 俺の体は100%銀化した……さようなら人生……



「死ねやーーっ!」


 チャキーンッ

 勢いで俺の胸にゴロの短剣が当るが、当然斬れる事は無い……でも何か怖くて人間の時の本能で片手で防いでしまう。


「……え? 手が動いてる!? なんで」


 俺は全身銀化してるハズなのに、何故か自由に体が動いていた。

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